第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
敵から免れた4人は、フィールドに着地した。
「どうですかベイビーたちは!!可愛いでしょう!?可愛いは作れるんですよ!!」
「機動性ばっちり!いい感じだよ発目さん!」
「お、おい葉隠!ハチマキねぇぞ!!?」
「はっ!!?いつのまに!?」
遠くから砂藤と葉隠の声が聞こえ振り向くと、そこには神隠しのようにいつの間にかハチマキを取られて狼狽える葉隠チームの姿があった。そんな彼らを嘲笑うかのように眺めるチームがいた。B組 物間寧人だ。
「漁夫の利」
『さあ!まだ2分も経ってねえが早くも混戦混戦!!各所でハチマキ奪い合い!!1000万を狙わず2位~4位狙いってのも悪くねえ!!!』
「アハハハ!奪い合い…?違うぜこれは…一方的な略奪よお!!」
そう叫びながら迫ってきたのは…
「障子くん!?あれ!?1人!?騎馬戦だよ!?」
「一旦距離を取れ!とにかく複数相手に立ち止まってはいかん!」
「な、なにこれ!?」
常闇の言葉に、ダークシャドウに乗り込もうとしたが、なぜか足が地面から離れない。それは峰田のものだった。
「ここからだよ四楓院ー…」
なぜか障子から峰田の声が聞こえ、よく目を凝らしてみると、なんと硬い甲羅のような障子の背中から、峰田が覗き見ていた。
「なぁァァァ!!?そんなのありィイイイ!?」
「アリよ!」
ギュイン…
「きゃっ…!」
さらに甲羅の中から長いムチが伸びてきた。間一髪かわすことはできたが、足元が離れないため完全には避けられず、さくらの頬に一筋の傷が入った。正体は、蛙吹の長い舌だった。
「さすがねさくらちゃん…!」
「つ…梅雨ちゃんもいたの!?すごいな障子くん…!」
『峰田チーム、圧倒的体格差を利用し、まるで戦車だぜ!』
「あぁああ…ベイビーがちぎれたあ!!」
「ごめんね発目さん!でも、なんとか離れられた…!」
しかし、一難去ってまた一難…
「調子乗ってんじゃねえぞクソが!」
「かっちゃん!!?」
「勝己くん…!踏陰くん、ダークシャドウ!」
ガギン…!!
突然空中に現れたのは、騎手であるはずの爆豪だった。彼は己の身軽さと個性を利用して、彼女たちの所まで飛んできたのだ。まさに無謀。