第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
勝己くんにも、艶子さんにも、右京さん、左京さんにも…!私は、絶対に負けるわけにはいかない。消ちゃんへの想いは…誰にも負けない!
ピーッ!
「スタート!!!」
外周へ続く扉が開き、私たちは走り出した。
『さて実況してくぜーっ!解説Are you readyミイラマン?』
『無理やり呼んだんだろうが…』
『早速だがミイラマン!序盤の見どころは?』
『…今だよ』
消ちゃんのいう『今』とは、そう、今だ。外周へ続く廊下に一斉に人が押し寄せたためおしくらまんじゅう状態で前に進めない!スタート地点が最初のふるいだったんだ!だったら!
「ビューティケア・シーバームリンク!」
私は個性を発動した。床は皮脂のリンクとなり、次はみんなが一斉に滑り転ける。そんななか私はスケートリンクを滑るかのように走った。さらに追い打ちをかけるかのように、轟くんの氷が皆の動きをとめた。けれど、それから免れた者たちも現れた。振り返った先にいたのは、青山くん、ヤオモモちゃん、鋭児郎に勝己くんだった。
「甘いわ…轟さん!」
「そううまく行かせねえぞ、さくらーっ!」
さらにその後ろから尾白くん、常闇くん、芦戸ちゃん、デクくん、峰田くん、砂藤くん、お茶子ちゃんとA組が続々とやってきた。けれどその時、ガン!と鈍い音が響き渡った。
「ターゲットタイリョウ!」
そこにいたのは、入試の時の仮想ヴィランだった。
『さあ!いきなり障害物だー!まずは手始め…第一関門!ロボインフェルノ!!!』
そんな…!ゼロポイントの巨大仮想ヴィランが、こんなに沢山…!でも、もう入試の時の私じゃない…!思い出せ…勝己くんと積んだ修行を…!今ここで、見せつけてやる!
ひ弱で泣き虫でダメダメな私は、もういないとーーー!
「そこ通りたいの…どいて、雑魚が…!」
私は両手いっぱいに皮脂を集めた。
「え、ダメだよ四楓院さん!いきなりそんなたくさんの皮脂を使ったら…!!」
「ビューティケア・シーバームボム!!」
私はロボに皮脂の弾を投げた。その瞬間、ロボが足元を滑らせ、体勢が崩れたのを私は見逃さなかった。
「でやぁあああ!!!!!!」
バゴーン!!!!
私は、強烈な蹴りをロボにお見舞した。当然ロボはそのまま倒れ、足元にばらまかれた皮脂が滑って立ち上がれない。それを見計らった私は先を急いだ。