第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
デクくんならきっと大丈夫だろう。彼は誰よりも努力家で頑張り屋さんだ。そして、自分に厳しい人。それは、今までの彼を見ていたら分かること。もしかしたら、デクくんが優勝するかもしれないと私は僅かな期待を抱いていた。するとそこへ1人のクラスメイトがやってきた。
「緑谷…」
「轟くん…なに?」
やってきたのは、轟焦凍くん。万年No.2ヒーロー、エンデヴァーの息子。半冷半燃の個性を持つ、推薦入学者の1人。入学した日から特に誰とも話す訳ではなく、どこか心を閉ざした生徒。人を見る力や判断力など長けているけど、人を見下すような言い方をする時もあるから、正直苦手な人だ。
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う。」
「え…う、うん…」
ほら、また…
「けどお前、オールマイトに目掛けられてるよな」
「「ーーー!」」
「別にそこ詮索するつもりはねェが…お前には勝つぞ」
それは、まさかの宣戦布告だった。意外すぎる相手と、突然の宣戦布告にデクくんは驚きを隠せない様子だった。
「おー…クラス最強が宣戦布告?」
「おいおいおい、急に喧嘩腰でどうした?直前にやめろって」
鋭児郎が轟くんをなだめようと肩に手を置いたけど、轟くんはそれを鬱陶しそうに振り払った。
「仲良しごっこじゃねえんだ…何だっていいだろ」
「…轟くんが、何を思って僕に勝つって言ってんのかは分からないけど…そりゃ、君の方が上だよ。実力なんて、大半の人に敵わないと思う。客観的に見ても…」
「緑谷も、そういうネガティブなこと言わない方が…」
「でも…みんな…他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ!…遅れを取るわけにはいかないんだ!僕も本気で獲りに行く!!!」
「おぉ…」
クラス内でも起きた戦い…熾烈を極める戦いになることは目に見えていた。緊張感がさらに高まるなか、ついに雄英高校体育祭の開会式が始まった。
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