第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
日本中が注目する、雄英高校体育祭当日。天候は晴天に恵まれ、雄英高校の前には既に多くのメディアが押し寄せ、通行許可が出されるのを今か今かと待ちわびていた。そんななか、雄英高校の体育祭会場近くには屋台まで設けられていた。開会を告げる花火も打ち上げられ、雰囲気はお祭り騒ぎ。さらに今年は1年A組に注目が集まっていた。理由はまずヴィランの襲撃を耐え抜いたクラスだということ、さらには万年No.2ヒーロー、エンデヴァーの息子…轟くんがいること。そして会場はさらにヒートアップしていた。
「なあ、こないだのUSJ事件の女の子いるかな!」
「あぁ!あのイレイザーヘッドとかいうヒーローと一緒にいた女子生徒だろ?やっぱ写真と生じゃ違うだろうな!」
「おれ、タイプなんだよなあ!」
「やめとけやめとけ。お前じゃ釣り合わねえよ!つか、お前知ってたか?イレイザーヘッドっていうヒーロー」
「いや、知らねえ…新人かな?」
「バカ…新人ヒーローがいきなり雄英の教師なんかするかよ」
そんな話が飛び交う中、私は体操着に着替えてクラスメイトと一緒に控え室にいた。
「あーあ…やっぱコスチューム着たかったなあ…」
芦戸ちゃんがため息をつきながら残念そうに言葉を漏らす。
「公平を期すため、着用不可なんだよ」
尾白くんがそう説明した。確かにヒーローらしくコスチュームは着たかったけど、確かに公平不公平が明るみになるからダメなんだろうな…ヒーロー科だけじゃなくて普通科やサポート科も出るし、何しろヒーローコスチュームが存在しないのだから、当然といえば当然だ。
「予選の種目って、何なんだろうな?」
「何が来ようが対応するしかない…」
「あぁ。」
常闇くん…いつも落ち着いてるというか、冷静沈着というか…クールだよね。そういやヒーローコスチュームも黒を基調にしてるし、まるで漆黒のヒーローみたい。
「みんな!準備は出来てるか?もうじき入場だ!」
部屋に入ってきた飯田くんの言葉に、さらに緊張が高まる。私も心臓がバクバクいってる…!いや、大丈夫…この2週間、勝己くんにしごかれ続けたんだから。
「緊張してきたー…!」
「私もだよ…!お互い頑張ろうね、デクくん!」
「うん、力を出し切ろう!」