第2章 波乱の初日
一番最初にその言葉を漏らしたのは、帯電の個性を持つ上鳴電気くん。
(初めて名前聞いた時そのままやないかい!とツッコンでしまった...)
「何これ面白そう!」
爆豪くんの記録に、みんなもスイッチがはいったのか、芦戸ちゃんを始め、たくさんのクラスメイトたちが目を輝かせていた。
「個性思いっきり使えんだ。さすがヒーロー科!」
「面白そう...か。ヒーローになるための3年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」
こちらもこちらでスイッチが入ったようで、消ちゃんはニヤリと笑みを浮かべた。嫌な予感...消ちゃんが笑う時は良からぬ事を企んでいる時...それは消ちゃんと一緒に暮らす中で、まだ幼き日の私が見抜いた消ちゃんのドSな性格だった。
「よし、8種目トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「「「はぁあああ!?!?」」」
「鬼か悪魔ですか消ちゃ...相澤先生!!!」
除籍って...皆が血反吐を吐く思いで頑張って合格したのに、入学して早々除籍処分なんて消ちゃんドSにも程がある。私なんてまだ自分の皮脂を上手く操れない段階なのに...このままじゃ除籍処分になっちゃう...!
「生徒の如何は俺たちの自由...ようこそ。これが、雄英高校ヒーロー科だ」
そう、髪をかき上げながら笑った。あ...かっこいい...こんな時でさえ僅かながらにそう思ってしまった。
「最下位除籍って...!入学初日ですよ!?いや...初日じゃなくても理不尽すぎる...!」
「...自然災害、大事故、そして身勝手なヴィランたち..いつどこからくるか分からない厄災...日本は理不尽にまみれている。そういうピンチを覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎...これから3年間、雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。更に向こうへ…PlusUltraさ...
全力で、乗り越えてこい...」
消ちゃんはまるで挑発するかのような指クイをしながら、私たちにそう告げた。そして、彼の目には僅かながらにも私たち...未来のプロヒーローへの期待の思いが込められているように見えた。消ちゃんの言葉がみんなに届いたのか、目の色が変わって気合いが入った。