第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
明日の朝と放課後から勝己くんとトレーニングの約束をした私は、明日に備えて早く家に帰った。家に、明かりがついていた。
ーーー消ちゃん、帰ってきたんだ。
当然と言えば当然だ。大ケガしている教師を残業させる程雄英も鬼じゃない。消ちゃん自体は大丈夫と言い張るだろうけど、正直病み上がりだから無理して欲しくないのが本音だ。私は玄関の鍵を開けて家の中に入った。
「ただいま」
玄関の鍵をかけ、私はリビングに向かう。明かりがついたリビング…何故か懐かしい感じがした。
「おかえり」
「ただいま、消ちゃん」
そこには、ヒーローコスチュームから普段着に着替えた消ちゃんがいた。相変わらず包帯ぐるぐる巻きだけど、彼がここにいることがこの上なく嬉しい。
「消ちゃん、包帯替えよっか」
「あぁ…正直もう必要ねえんだが、ばあさん(リカバリーガール)がうるせえしな…」
「みんな心配なんだよ。あんな無茶する消ちゃん見たことなかったって、他の先生たちも言ってたし…はい、ここに座って」
私は棚から救急箱を取り出して、消ちゃんをソファに座らせた。彼の隣に座って包帯を取り外していく。
「だいぶ治ってきたね」
切り傷とか擦り傷はだいぶ治ってきたけど、脳無から受けた右目の下の傷がなかなか治らない。縫わなきゃいけなかったくらいの結構深い傷だったし、抜糸しても傷跡が残るかもしれない…
「お前、首のアザどうした…」
「え…っ!」
私は思わず巻きかけていた包帯を落としてしまった。勝己くんに付けられた証を、消ちゃんは見逃さなかった。髪で見えないと思ってたのに…!気づかれちゃいけない。私は咄嗟に言い訳を考える。
「あ、これ?これは、その…友達とじゃれあってた時に身を挟んじゃって…!」
「見え透いた嘘をつくな…誰に付けられた」
バレてる…!!!どうしよう…!!絶対にバレちゃいけなかったのに…!これがバレたら、艶子さんとの勝負まで話さなきゃいけなくなっちゃう!そう頭の中がパンク寸前になりかけていた時、包帯を巻きかけていた手が引かれたかと思えば、視界が消ちゃんから上に向かって切り替わった。しかも目に映るのは天井じゃなくて…
「…正直に答えろ…誰に付けられた」
「ーーーっ!!!」
私は消ちゃんにソファに押し倒され、逃がさないとばかりに私の手首はしっかりとホールドされていた。