第6章 新たな旅立ち 過去編
「「絢迦」」
(誰か呼んでる?あれは…!?)
『お父様!お母様!』
絢迦が目をあけるとそこには
死んだはずの絢迦の両親が
生前と変わらぬ姿で立っていた
『これは夢?ううん、夢でもいい
会いたかった、お二人とも…』
駆け寄り2人に抱きつく
絢迦は泣いていた
「まぁ、どうして泣いているの?」
「絢迦は泣き虫だからなぁ」
穏やかな笑顔で見つめ返す両親に
幸せな気持ちでいっぱいになるが
『もうっ、お二人と…も……っ⁉︎』
抱きしめられた腕が軋みをあげ
顔を上げた絢迦は驚愕する
「どうしたの絢迦?」
「どうしたんだい、絢迦?」
頭から大量の血を流しながら
それでも笑顔を絶やさない両親
明らかに異常な光景
『ど…どうなさったのですか?』
「まぁ、おかしな事を聞くのね?」
「さぁもう、こっちにおいで…」
抱きしめられていた腕が首にかかり
だんだんと力がこめられていく
『おか、あ…さま……お、とう…さ、ま』
息も絶え絶えに2人に向かって
手を伸ばすがその手は届かない
『っ……‼︎』
冷や汗をかきながら飛び起きれば
そこは昨夜、泊めてもらっていた
行冥の家の一室
『夢……お2人共ごめんなさい…』
起きた筈の自分の目からは
とめどない涙が流れている
コンコン コンコン
「おはようございます!
絢迦様、岩柱様が朝餉を
一緒にとおっしゃっています‼︎」
扉の向こうから声をかけられる
『す、すぐに参ります‼︎』
泣いていた事を気づかれないように
声をはりあげ返事をすると
布団をたたみ身なりを整えた