第2章 山村での出来事
子供達が桔梗院にやってきてから
早くも2週間たったある日の早朝ー
[カァァ 伝令 伝令
絢迦サマ 南南東二異変アリ
スグニ向カワレマスヨウニ!]
絢迦の鎹鴉が伝えにやってくる
『まぁ、南南東…
それならもう行かないと』
朝食の用意をしていた絢迦は悩む
「おはよう絢迦お姉ちゃん!」
「「おはよう」」
『みんな、おはよう
急なんだけど私、もう
お仕事に行かなきゃいけないの』
「絢迦さんが帰ってくるまで
俺達ちゃんと留守番してるよ!」
『佑くん…あのね、私はもう
いつここに戻れるかわからないんだ…』
「えっ!?もう会えないの?」
「そんなの嫌だっ!!」 「なんでっ!?」
『みんな……私は皆のように
鬼に怯える人を助けてあげたいの
だからもし鬼がいるならそこに
行かなきゃ行けない…』
"鬼"の言葉にみんな黙ってしまう
『だけど、寄れる時はみんなに
会いに絶対来る!約束するわ!』
「みんな、笑顔で見送ってあげないと
絢迦様が悲しむわよ?」
桔梗もやってきて子供達を何とか
宥めようと声をかける
「うっ…わかった。
俺達次に会う時はちゃんと
元気になってるから…だから
ちゃんと会いにきてね!」
みんなを代表して佑が言うと
他の子供達もうなずいているが
その目には涙がたまっている
『えぇ、必ずみんなの元気な姿を
見に戻ってくるわ』
絢迦も涙を堪え一番の笑顔で
返事をする
「「「「行ってらっしゃい」」」」
「絢迦様お気をつけて!
貴女様のご無事をお祈りしています」
子供達と桔梗に見送られ
絢迦は南南東を目指して出発する
『行ってきまーす!!』