第6章 Shine! 〈綾織 星羅〉
「う、うん」
それから一時間目が始まって、授業中にも何もないかと思われたその時だった。
「すみません、綾織星羅はいますか」
『は、はい』
授業中、いきなり先生に呼び出されて、廊下に出た。もう、これ以上、何があるって言うの…?
「落ち着いて聞いてくれ…。お前の両親が乗った東京からのバスで、事故があって…。お二人とも、亡くなられたそうだ…」
『…!そんな…!』
「稲妻町の病院に運び込まれたが、既に息を引き取られたと…。直ぐに病院に行った方が良い」
『は、はい!』
リュックを持って急いで学校を飛び出した。どうして…!どうして…⁉︎お父さん達にまで被害が⁉︎それも…死んじゃうなんて!私、これからどうしたら!
この時は忘れていたのだ。私「が」対象だという事に。
ガラガラガラ…
また、上から…鉄骨…⁉︎そんな!まるで、ここを通る事を想定していたみたい…!誰かに腕を引っ張られた。
「やっぱりな」
『鬼道…君?どうして?』
「お前が急いで学校を出る所が見えたからな。もしかしたらと思って着いてきてみれば、こうだ」
なんでなの。どうしてお父さんやお母さんまで…!
「これで漸く分かった。狙いはお前じゃない。お前の両親だ」
『⁉︎』
「正確には綾織家を潰すつもりだったんだ」
『そんな…。私にはもう親戚は居ないんです。昨年、最後の一人だった親戚も亡くなって…』
「…俺の家に来い」
『で、でも…』
「父さんならお前を認める。新入生テストで一位をもぎ取ったお前なら」
『これ以上、迷惑かける訳にはいかないよ…』
「少し待っててくれ」
鬼道君がいきなりスマホを取り出した。
「もしもし…父さん…」
何やら話しているみたい。一体何を…。もう、全てが考えられなくなった。大事な家族が居なくなって、私も死と隣り合わせ。
「父さんに許可を取った。父さんが後継人になってくれるらしい」
『…え?』
「取り敢えず、今は病院に向かおう!何があるか分からない!気を付けろ!」
『うん…!』
ごちゃごちゃとした頭で病院に向かう。もう、どうしたらいい?私は、どうしたら良いの?お父さんもお母さんももういない。頼れる人は、もう…。
「何も考えるな」
溢れそうな涙を引っ込めて彼の言葉に頷く。これ以上考えたら、おかしくなってしまいそうだった。精神から壊れてしまいそう。誰か…助けて…!