第57章 Enamour!〈綾織 星羅〉
イタリアに来てから大分経って、大学に通う生活にも大分慣れてきた。
『っつぅ…』
「ん…」
『あ、おはよう、有人君』
「大丈夫か?昨日は激しくし過ぎたな」
『ちょっと腰痛い…けど、今日休みでしょ?』
「そうだな。もう少しゆっくりするか」
『うん!』
こうやって二人でくっついて寝てると凄く暖かい気持ちになれる。
「寒くないか?」
『うん』
「しかし…大分大きくなったな…」
『毎晩揉まれたら…流石に…。でも、そろそろ下着新調しないと…苦しいかも』
ここ最近で大分胸が大きくなってしまった。高校生の時に比べて、ほぼ毎日交わってるし…。
「買いに行かないとな」
『うん…』
「眠いか?」
『ちょっと…』
「もう一眠りするか」
『うん…』
眠くなってもう一度目を閉じる。そう言えば…最近生理来てないかもしれない…。どうしよう…一回検査してみた方が良いのかも。
ーー翌日
『有人君、お弁当はここに置いておくね。何か今夜食べたいものある?』
「久し振りに魚が食べたい…」
『分かった。用意しておくね!』
「ああ。今日もいつも通りだ」
『うん。それじゃあ大学行ってくるね』
「ああ、気を付けてな」
大学に向かって講義を受けた後、魚を買ってきた。ついでに妊娠検査薬を買って、確認してみる事にする。
『子供…出来てたらどうしよう…』
一度、ゴム無しでやってしまって、しかも中出しだったから…。その後は疲れちゃって掻き出さずに寝ちゃったし…。完全に自業自得かも。
『大丈夫…だよね』
自分の尿をかけて、確認した。恐る恐るキャップを開けてみた。終了マークには赤線が入っている。判定マークの部分を隠していた親指を少しずつずらしていく。すると…終了マークと同じ赤のマークがくっきりと浮かび上がっていた。
『どうしよう…まだ、半年あるのに…』
いや、待てよ。これまでちゃんと全ての講義に出てきた。イタリアでは、自分で卒業日を決められる。もう少し行ったら早めに卒業の準備を始めないと…。
ガチャリ
ドアの開く音がする。どうしよう!有人君帰ってきちゃった…!まだ検査薬片付けてないのに!
「星羅…どうしたんだ?」
『あ、ううん!何でもないの!』
急いで検査薬を後ろに隠して、部屋に一度戻る。駄目…自分からはとてもじゃないけど伝えられない…。怖いし…突き放されちゃったらどうしよう…。