第56章 Marry！〈天晶 瑠璃〉

というか綱海君の方が煩い気が…。

『花嫁を取り戻せー的な演出？』
「ああ！ヒロトにも言ってないからな。めっちゃ焦ってると思うぞ！」

うん焦るー。それは普通に焦る。せめて誰か事情くらいは説明してあげて！

「おし！そろそろだな！」

ん？何が？

「此奴を返して欲しければ、俺と勝負しろ！」
「その声はやっぱり…綱海君だね」
『きゃー助けてー』
「棒読みだなオイ！」
「うん、久し振りに殺意が湧いたよ」

顔黒い！ゲス黒い顔してるから！殺意収めて！

「ここはシンプルにジャンケンだ！」

いやシンプルすぎだな⁉︎もう少しなんか考えよ！

「最初はグー！ジャンケンポン！」

なんとヒロト君の勝利。うん、じゃなきゃこっちも困る！

「返してもらおうか？綱海君？」
『ヒロト君、怖いから！ちょっと殺意収めて！』
「ほらよ！大事にしろよ！」

うん、まぁ星羅ちゃんの時よりはまだ良い。けど強引すぎかな⁉︎

「それではファーストバイトのお時間です」

緑川君が咳払いをしてもう一度司会進行を始めた。そりゃあ緑川君も困ると思うよ。

「本当…戻ってきて良かった」
『心配しすぎ！大丈夫だよ』

若干冷や汗かいてるし…。こっちも冷や汗かいたけどさ…。

「瑠璃、あーん」

ケーキを掬って食べさせてくれた。よし、反撃開始といこうじゃないか。

『ヒロト君、どうぞ〜！』

めっちゃでっかく掬ってやりました！これは流石に食べれな…ん？

『ヒロト君？』
「…」

黙々と食べていらっしゃる…。もはやファーストの意味とは…。

「よし」
『わぁお…』

めっちゃ驚いたけど、そのまま何事も無かったかのように進行をした緑川君は本当に凄いと思います。

『星羅ちゃん。わざわざ来てくれてありがとう』
「ううん。絶対行きたいって思ったから！」
「おめでとう、瑠璃」
『ありがとう、乃愛ちゃん』
「そういえば、ブーケトス乃愛ちゃんが貰ったんだよね」
「ま、その内かな？」

大学卒業まではって言ってたけど、やる事になったんだ。絶対参加しよう…！

「それでは、これで式を閉じます」

やっと波乱の披露宴を終えて控え室に戻ってきた。

「波乱だったね」
『本当、びっくりしちゃったって…んん、ちょっと』
「もう、自由だろ？」
『お家帰ってから！』

旦那様を引き剥がして帰る準備をする。でも、ずっと大好きだよ。ヒロト君。