第54章 Graduate!〈綾織 星羅〉
『うん!』
「そろそろ披露宴が始まるので、準備をお願い致します」
『はい』
「行くか」
頷いて会場まで歩き出した。入場した後は、紹介とか色んなのがあって、遂に乾杯の所まで来た。
「お次はファーストバイトです」
司会は次郎君が快く引き受けてくれた。これからファーストバイトが行われる訳だけど…
「いくぞ、星羅」
『う、腕の見せ所…!』
結構な高さのウエディングケーキに入刀する。食べられそうな大きさのケーキを掬って有人君に食べさせた。
『んもっ…』
「むっ…」
ケーキをもぐもぐして有人君の口に付いているクリームを拭ってあげた。そして有人君と共に頷いた。
「円堂、豪炎寺とヒロト、それから不動は鬼道へ。朝日奈と天晶と櫻小路は星羅へ」
決めていたんだ。サンクスバイトとして、三人にやってあげたいなって。
『いくよ…三人とも…!』
スプーンで掬って三人にそれぞれ食べさせた。
「ありがと、星羅」
「美味しい〜!」
「あはは…」
『三人共、本当に今まで有難う。これからも宜しくね』
「勿論」
有人君の方を見ると、いろいろと大変な様だ。四人がかりで不動君にケーキを食べさせようとしている。
『カオス…』
「それではゲストによる余興です」
何をやるのかと思いきや。元FFHIメンバーでいきなりサッカーをし始めた。いや、会場壊れる!壊れちゃうから!
『か、会場壊れちゃうよ⁉︎』
「円堂ならやりかねないと思っていたが…。本当にやるとはな…」
『す、ストップ!ストーップ!』
危ない…。本当に壊れる所だった…!
「そ、それではこれで式を閉じます」
色々波乱な披露宴だったけど、漸く終わって、お見送りの時間になった。何で結婚式なのにこんなにヒヤヒヤしたんだろう…。
「終わったな」
『これで君の奥さんでーす』
「あんまり可愛い事を言うと、襲うぞ」
『えっ…』
「冗談だ。行くぞ」
『うん!』
もう一度控室に戻って着替える事にした。
『ふぅ…終わったね』
「さて、帰らないとな」
『ねぇ有人君、私達もう夫婦なんだよ?』
嬉しくて、自然と笑顔になってしまう。
『あ、んんっ…』
「甘いな」
『も、もう!不意打ちはびっくりするよ!』
狙っていたかの様に口角を上げた。
「もう我慢しなくて良いからな」
ニヤっと笑う姿に少しときめく。でも、そんなところも大好きだよ。