第6章 Shine! 〈綾織 星羅〉
ーー月曜日
「今日は木曜日の新入生テストを返すぞ!」
頑張った。多分大丈夫。やれる事はやった。
「綾織!」
『は、はい!』
三枚まとめて返された。恐る恐る見てみると、全部満点だった。やった…!頑張った甲斐があった…!
「皆!ここに上位三十名を貼り出しておくからな!後から確認しておけよ!」
全て満点だった、けれどこれで本当に大丈夫だろうか?不十分だった所は…?
「お前…一位なんだな」
『鬼道君…。入試で一番取れなかったから…。今度こそ頑張ろうと思って』
「凄い執念だな」
『良く言われるの。私、実は負けず嫌いで、やり込んじゃうタイプだって乃愛ちゃん達にも言われて』
「少し聞きたい事があるんだが…」
『え?』
「数学の問三の証明が不正解で、点が三点しか貰えなかった。何処が違うのか教えてくれないか」
『あ、はい。見せてもらえますか?』
「ああ、頼む」
ああ、これは、最初に証明すべき所を間違っている。ここは引っ掛け問題で実は違う所を証明してから本題に入る。
『実はこれ、引っ掛けの問題で、鬼道さんのようにこっちの三角形を証明する様に仕向けてるんです。実はこっちを証明しないしないといけなくて…』
「なるほどな。ありがとう」
『はい!お役に立てたのなら良かったです!』
「だから、何故敬語なんだ…」
『つい、癖で…』
「まぁ、良いが、凄いな。引っ掛けを見抜いて解くなんて」
『執念…ですかね』
「そうだな」
一時間目が始まるチャイムが鳴る。急いで席に座った。今日も体験入部がある。かるた部に行ってみようかな。やっとの事で放課後になり、体験入部が始まる。かるた部に行ってみよう。
『こ、こんにちは…』
「あ、君は…!」
「部長?」
「もしかして、三年連続優勝した、綾織 星羅ちゃん、だよね」
「え、えええええ!」
まさか、知ってる人がいるだなんて…。
『は、はいそうです』
「君を待ってた。ようこそ、かるた部へ」
『は、はい!』
「良ければ、君の練習の仕方を教えてくれないかな」
『ま、まずは見せてもらって良いですか?』
「もちろん」
まず見て思ったのは、速度が異様に遅い。反射が自然と出来ていない。迷いがある。
「どうだったかな」
『まず、反応のスピードが遅かった…です』
「何言ってるんだ!部長はこの中でも一番速くて!」
「良いんだ。続けてくれ」