第48章 Begin!〈朝日奈 乃愛〉
私達もついに二年生。新入生も入ってきて、今日から体験入部が始まる。今日は、顧問の先生の事情で、軽音楽部は体験入部が終わる時間に部活も終了する。
「会えて光栄です…!」
『え…私そんな有名なの?』
「バンドやる奴ならみんな知ってますよ!」
『あ、そうなんだ…』
「教えて下さい!ボーカルの極意!」
極意って言われてもなぁ…。確かに努力はした。けど…大事なのはポテンシャルだと思う…。
『君の声を聞かない限り、私には何も言えないよ。万人に共通するアドバイスなんて精神論位なんだから』
「じゃあ、俺の声聞いてくれるんですか…⁉︎」
『明日、もう一回おいで』
「はい!」
後輩可愛いなぁ…。私達も二年生になったんだっていう自覚が現れる。部活終わったし、修也の所に行きますか。
「豪炎寺せーんぱーい!私〜先輩にずっと憧れてたんですぅ〜!」
あらあら、新学期から面倒なのに絡まれてんなぁ…。
「あ、乃愛ちゃんね!丁度良かった!マネージャーの仕事、手伝ってくれない?」
『良いですけど…どうかしたんですか?』
「星羅ちゃんがマネージャー辞めちゃったから…人手が足りなくて」
『えっ…?』
星羅からそんな話一回も聞いてない!何でいきなりマネージャーなんか辞めて…。
「あと、あの子帰らせてくれない?もう一年生は帰る時間だからさ」
『分かりました』
この先輩は凄く優しい先輩で、イナズマジャパンのマネージャーに選ばれなかった事、ちょっと悔しいって言ってたけど、来年こそは選ばれる様に頑張るって意気込んでた。
『こーら。一年生はもう帰る時間だぞ』
「何ですかぁ?ね、豪炎寺先輩!」
おいおい、顔死んでるって、修也。そこそこに偏差値良いからまともな人結構居るもんだと思ってたけど、やっぱり何人か頭可笑しい奴も居るんだなぁ…。
「俺の彼女だ」
「は…え…?」
うっわ。めっちゃ傷付いてる。めっちゃ狙ってたのにっていう顔してるし。あんたが先輩に手ぇ出すのは100年早いっつーの!
『そういう訳だから、離れてくれると私的には嬉しいんだけど』
「ちっ…」
『うん?』
「きょ、今日は帰りまーす…!」
全く、挨拶も出来ないなんて、今の子はどうなってんだか…。
『大丈夫?』
「ああ…助かった」
『今年も厄介なモンスター到来、だねぇ』
「全くだ。何しに部活に来てるんだ…」
『あっはは…』