第43章 FFHI Ⅶ〈朝日奈 乃愛〉
ファイヤードラゴン戦に向けて戦術も組み立て直した。アフロディや南雲君達には結構辛い決戦かもね。
『いよいよ今日かぁ…』
「不安か?」
『修也…。ううん、イナズマジャパンなら大丈夫って信じてるから』
「そうか」
『ただ、気掛かりなのは元ファイヤードラゴン組かな』
「アフロディ達か」
見た目あんまり考えてない様に見えるけど、きっと中では考えを張り巡らせている。深く考えすぎていないか心配だ。
『ま、心のケアもマネージャーの仕事だし。もしアフロディが深く悩んでる様であれば、私も力を貸してあげたい』
「…」
『また、心配してる?大丈夫だって。この前ケリつけたばっかでしょ?』
「別に…」
『はいはい。嘘ついてるのバレバレだから。それじゃあ、ちょっと様子見に行ってくるね。先にグラウンドの方に行ってて。多分ロッカールームに居るはずだから』
「ああ」
若干早足でロッカールームに戻ると、案の定三人だけ残っていた。
『そろそろ試合始まっちゃうよ』
「…そうだね」
『アフロディ、やっぱり元ファイヤードラゴンだっただけに心残りがある感じ?』
「まぁ、無いとは言い切れないかな」
『三人共、思い出して。雷門イレブンと戦った時のこと』
「雷門イレブン…?」
皆かつての敵だった。でも、今こうして味方として雷門イレブンだったメンバーと共に闘ってる。その時、此奴とは連携出来ないときっぱり断った奴なんて居ただろうか。
『昨日の敵は未来の仲間って言うでしょ。円堂君は、アフロディや南雲君、涼野君がこのイナズマジャパンに入った時、嫌そうな顔してた?』
「してないな」
『じゃあ、チェ・チャンスウはそんな顔する奴かな?』
「しないだろうね。彼はサッカーに誠実だ」
『なら、信じてみようよ。そのサッカーに誠実な心を』
「そうだな」
「ま、再開の喜びを味わいながらプレーするのも悪くない」
皆、元気になってくれたみたい。大丈夫。この三人なら、きっと大丈夫。信じてる。
『さ、行こう。皆待ってるよ』
「そうだね」
そうだよ。サッカーしている君達には笑顔でいて欲しいんだ。それが私達マネージャーの一番の願いなんだから。
『行ってこい!私達はあんた達の一番の味方なんだから!此処で手なんか抜いたらぶっ飛ばすかんね!シャキッとしな!』
「お、おい…」
『負けたら許さないんだから…』
「勿論だよ」
さぁ!勝負だ!