第42章 FFHI Ⅵ〈綾織 星羅〉
サウジアラビア代表、ザ・バラクーダには4対3で見事イナズマジャパンが勝利した。流石多国籍な選手なだけあって特徴は掴み難かったけど、でも、所々価値観が合わなくて喧嘩していた。
「星羅。私達、勝ったんだよ」
『うん…!次は、韓国代表のファイアードラゴン、だっけ』
「そうそう。アフロディ達にとっては因縁の対決だよね」
『まぁ、元選手だったからね。でも、だからこそ凄くアツい試合になるんじゃ無いかな』
結局、サウジアラビア代表はチームが纏まっていなかったせいで、ゴールを簡単に日本に受け渡してしまったけど、結局はリーダーが喝を入れ直して、後半戦からは凄く良い勝負になった。強靭な足腰や、強いキック力に圧倒されたけど、なんとかなって本当に良かったと思う。
『有人君、お疲れ様。とってもかっこよかったよ』
「ああ」
『次は、ファイアードラゴン戦だね。頑張ろう』
「此処で当たるのは辛いが、乗り越えなくてはならないからな」
『うん。精一杯応援してるから、私達も頑張るね!』
「いつも本当に助けられている。これからも宜しく頼む」
『勿論。さ、帰ろう』
皆でキャラバンに乗って合宿場に戻った。皆試合の後だから結構疲れている。
『お疲れ様でした。今日は是非早めに休んで下さいね』
皆がバスから降りて、その後忘れ物がないかを確認する。流石、最後まで気を抜かない所はイナズマジャパンらしい。忘れ物は一つもなかった。よし、と思ってバスから降りたその時だった。
「貴方が、綾織 星羅ですのね」
『え…?』
「私、万里小路 灯里と申しますの。鬼道様と婚約させて頂いた者ですわ」
『そうでしたか』
「あら、案外冷静ですのね。もう愛情なんて物、無いのかしら」
『煽りたいだけなのであれば、私は今すぐこの場から立ち去りますけど、貴方が言いたいのはそんな事ではないのでしょう?』
「良くお分かりで。私から、貴方に、新しい家のプレゼントですわ。一応2、3人の使用人も付けてありますの。光栄に思って下さいまし」
『ありがとうございます』
「それでは、鬼道様は私が頂きますわ」
『別に、私を罵りたいのであればそれで構いませんが、有人君を物として扱うのは、いくら貴方でも許しません』
「あら、怖いこと。それでは失礼致しますわ」
年齢は私達と大体同じ位なのに、何が如何なってあんな性格に育ってしまったのだろう。