第38章 Valentine!〈朝日奈 乃愛〉£
その瞬間、布団を巻き込んで押し倒された。そして無数のキスの嵐が降ってくる。
『ん、ちょっと…修也…』
「誘ったのはお前だ」
『誘ってなんか…ふぅ…んっ…!』
ぐうう〜
折角のムードがこの音でガラガラと崩れ去った。
『えへへ…ごめん、お腹すいちゃった…』
「昼飯だな」
『うん!』
台所に行って軽く昼食を作った。まぁ、昼食と言うかブランチと言うか…。
『出来たよ。食べよっか。修也』
「そうだな」
バレンタインデーだけど…どうしようかな。今日作って今日渡すつもりでいたから、そろそろ作り始めないと。
『修也。これからは台所立ち入り禁止だかんね』
「?」
『これから作るから。できるまで待ってて』
「分かった」
渋々頷いて、テレビの前に座っていった。その間に冷蔵庫から買ってあったチョコを取り出した。ボウルを出して先ずは湯煎する。沸かしておいたお湯を適温までに冷ましてどんどん溶かしていく。
「こんな風に作るんだな」
『うわっ…びっくりした…。入っちゃ駄目だよ』
「入りはしない」
入りはしないって何か含みのある言い方だなぁ。
『ちょ、何してんの⁉︎』
「チョコを食べようと思ってな」
『だから、まだ出来てないって!』
修也がボウルに若干溶けているチョコを掬って、私のパジャマの隙間の肌に塗った。
『ちょ、ちょっと…』
そのままパジャマのボタンをプチプチと外して、胸が露わになる。
「美味そうだ」
『バカ…』
そのまま何も出来ずにやられっぱなしだった。温いチョコレートが蕾に塗られた。
『あっ…んん…』
「甘いな」
『それはチョコが…あっ…あぁんっ…だめっ…!』
チョコが塗られた蕾をパクッと口の中に加えられて変な快感に襲われた。いつもと違った感覚に声が抑えられなくなる。チョコを余さず舐めとろうと口の中で遊ばれる。
『あっ…ち、くび…弱い、からぁっ…!』
「知ってる」
自分でも下の方が湿って疼き出している事に気付いてきた。触れて欲しい…けど…こっち側に入れたら終わりだって、謎の束縛がプライドに呼びかける。
「そっちに行っていいか?」
『…』
素直に頷けない自分がいる。だって、恥ずかしい。此処でうんって言ったらはしたないって思われそうで。
「素直になれ」
笑いかけながら言ってくる姿に、やっぱり敵わないと思った。
『いい…よ…?』