第5章 Light! 〈朝日奈 乃愛〉
『ここ?』
「うん!夕香のお気に入りの場所!」
連れてこられたのは近くの公園だった。休日だけど誰もいなくて、確かに遊ぶのには丁度良い場所だった。
『何して遊ぶの?』
「サッカー!」
サッカーか…。私あんまり上手じゃないんだよな…。
『私、あんまり上手じゃないよ?』
「お兄ちゃんの友達がね、サッカーは楽しむものなんだって言ってた!上手いか下手かは関係ないんだって!」
『そっか…そうだよね!私、頑張るよ!夕香ちゃん、私にサッカーを教えて!』
「うん、良いよ!」
さすが豪炎寺の妹さんなだけあって、ボール運びは軽やかだった。蹴り方からパスの仕方まで、色んな事を教えてもらった。サッカー…以外と楽しいかも。
「楽しそうだな」
『豪炎寺!』
「お兄ちゃん!」
『夕香ちゃんにサッカー教えてもらってたんだ。サッカー…楽しいね!』
豪炎寺にVサインして、また夕香ちゃんとパス練習をした。クタクタになるまで練習して少し一休みする事にした。
『あー、つっかれた!』
「結構、筋がいいな」
『まじ?でも絶対明日筋肉痛だよ。こんなに運動したの久しぶり!…ありゃ』
「夕香…」
『良いって。寝かせてあげてよ』
夕香ちゃんが私の膝枕で寝ていた。まぁ、午前から午後いっぱいまで動いて疲れたんだろうな。寝顔も可愛い…。小ちゃい子って天使…!
「来てくれて、ありがとな」
『豪炎寺のサッカー見たかったから…。また試合があったら呼んでね。夕香ちゃんと応援に行くから!』
「ああ」
今日は豪炎寺だってさぞかし疲れただろう。雷門の点取り屋って感じでバンバンシュート決めてたし、きっと体力もそんなに残ってないだろう。
ぽすっ…
肩に重みを感じたから、見てみれば豪炎寺が寄りかかって寝ていた。嘘…これって…ちょ、やばいって…!
『ご、ごーえんじー?』
ちょっと揺すってみても起きる気配がない。よっぽど疲れてるんだろうな…。今日の豪炎寺を見て、もっと好きになった。だって、あんなカッコいいの見たら惚れるに決まってる。お弁当食べてもらって「おいしい」って言ってくれたの本当に嬉しかったし。少しだけ、少しだけ、思いを伝えさせて欲しいから。届かなくてもいい。少しだけ、歌わせて欲しいの。
『〈ほら あなたにとって大事な人ほど すぐそばにいるの〉』
小さな恋のうた
作詞 Kiyosaku Uezu