第35章 FFHI I 〈天晶 瑠璃〉
遂に今日はFFHIの代表候補が集められる日。緊張しながらも乃愛ちゃんと星羅ちゃんと二人で明電高校へと歩いて行った。選手よりも先にマネージャーに話があるそうなので、三人で先に向かった。
「瑠璃ちゃん、声戻って良かったね」
『うん、ありがとう。お陰ですっかり大丈夫』
「良かった良かった。響木監督、だっけ。なんかテレビでは見た事あるけど、実際には見た事ないよね」
『うん、威厳があるというか…』
「まぁ、実際に話してみないと分からないことも多いし、取り敢えず会ってみて、だね」
「だね」
明電高校の体育館に集まると、既に響木監督は後ろ向きに立っていた。
『あ、あの、私達、マネージャーで呼ばれたんですけど…』
「来たか」
振り向くと、黒い眼鏡と濃い紫のバンダナが主張していた。
「響木 正剛だ。これからお前達には日本代表のマネージャーを担当して貰う」
「は、はい!」
「あの、本当に私達三人だけなんですか?」
「そうだ」
やっぱり間違いでは無いらしい。ヒロト君に聞く限り、中学の時も三人でやりくりしていたらしいので、まぁ大丈夫だとは思う。
「これから、マネージャーについての説明をする。資料にあった事とはまた別の事だ」
『はい』
「マネージャーは、選手のサポートをする事が一番の役目であり、身体面、精神面、両面でのサポートが必須だ。良いな」
「はい」
「後は、お前達が選ばれた意味をよく考えろ」
「はい」
私達が出来る事は皆のサポートをする事。そして、選ばれた意味を考えなくてはならない。
「もうすぐ選手達が来る。選手達の前でも紹介するから、用意はしておけ」
『はい』
それだけ言って響木さんは去ってしまった。今までは全国大会で規模が済んでいたけど…これから世界に旅立つんだ…。
「いよーっす。あ?一番か?」
「こんにちは」
「あ?あ、マネージャーか。宜しくな」
ピンクの様な髪色で多少顔がゴツい人が一番乗りだった。その人に続いてまたピンクの髪でゴーグルを頭に付けた色黒の人が入ってきた。
「よぉ!染岡!久しぶりだなぁ!」
「おお!綱海じゃねぇか!」
ピンク頭の坊主に近い方は染岡さんで、ゴーグルの方は綱海さんと言うらしい。まぁ確かに見た事ある様な気がしなくも…ない…。私の記憶力って大体アテにならないからなぁ…。こういうのは星羅ちゃんの方が詳しい筈なんだよなぁ。