第26章 Lay! 〈朝日奈 乃愛〉
アメリカに行くのをやめた日から、修也のお家にお世話になっている。夕香ちゃんも、勝也さんも優しくて、本当に楽しい時間だ。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、お帰り!」
『ただいま。夕香ちゃん。今からお昼作るね』
「うん!」
土曜日の部活後は寄り道をせずすぐに帰ってきて、夕香ちゃんにご飯を作るのがいつも通り。今日も同じく、帰ってきて手を洗って昼食作りに入る。
「明日ね、夕香、撫子ちゃんのお家に遊びに行くんだ!」
『そうなんだ!何時から遊びに行くの?』
「午後の一時から!」
『そっか、楽しんできてね!』
「うん!」
そうだよなぁ…。お友達とも遊びたいもんなぁ。高校生とか、中学生でも普通だけど、小学生でも遊びたいもんね。
「明日はお姉ちゃん達何も無いの?」
『うーん、特に何も無いかな』
「それじゃあ、お兄ちゃんと二人きりだね」
夕香ちゃんの言葉に自然と顔が赤くなる。何想像してるの…!多分、別に何も無いよね…?
『ご飯出来たよ〜!』
「わぁ…!」
食べてくれる人がいると、やっぱり料理っていうものは上達するもので、隠し味とかそういうものまで結構分かる様になってきた。
「ごちそうさまでした!」
『はーい』
そういえば、次のテストも近い。ちゃんと勉強時間増やさないと。
「お姉ちゃーん、遊ぼー!」
「夕香、お兄ちゃん達テストが近いんだ」
「そっか…」
『良いよ!大丈夫!』
「…」
修也が心配そうに見ているけれど、大丈夫。これくらい出来ないと。
「良いの…?」
『うん、お姉ちゃんと一緒に遊ぼ』
「乃愛…」
『修也は勉強してて良いよ。後から私もやるからさ』
食器を洗い終わって、手を拭く。ついでにテーブルも拭いて夕香ちゃんのもとへ向かった。
「今日はね!これ見るの!」
夕香ちゃんが持っていたのは、子供に人気のあるアニメの映画だった。そういえば最近こういうの見なくなったかも。
『良いよ〜。ちょっと待ってて。お姉ちゃん膝掛け持ってくるから』
最近寒くなって、足元が冷える様になってきた。中学の時から愛用してきた膝掛けを持ってきて、自分の膝に優しくかけた。
「始めるよ〜!」
『うん』
毎回思うけど、こういうアニメの映画ってやっぱり普段と違ってスケールが壮大なんだよなぁ。小さい時は気にも留めなかったけど。夕香ちゃんはもう映画に見入っている様で、興味津々だ。