第22章 Stick! 〈天晶 瑠璃〉
「貴方が瑠璃ちゃんの事縛り付けてるのは知ってる。でもそんな事して何が楽しいの?瑠璃ちゃんはきっと貴方に一生振り向かない。だってそれ以上に瑠璃ちゃんはヒロト君の事好きだから!」
『星羅ちゃん…』
「君、何言ってるの?俺と瑠璃チャンが付き合ったのは同意の上で…」
『違う、貴方が脅したんでしょ。私は…貴方のことなんか興味ないし、無関心だから』
「瑠璃ちゃん、行こう!ヒロト君、きっと待ってるよ!」
待っているかどうかなんて分からない、けど心配だった。あの男に縛られてた私が馬鹿みたい。病院まで全速力で走って、ヒロト君の病室まで急いだ。
『ヒロト君…』
「私、外で待ってるね…」
星羅ちゃんが病室の外に出ていった。
「瑠璃…?」
『ヒロト君…ごめんなさい…』
「泣かないで、俺は大丈夫だから…」
『そんな事言って全然大丈夫じゃ無かった…!だから私、別れたのに…』
「どういう事…?」
『私、ヒロト君が私の事はもう好きじゃなくなって疲れたから…別れた方が良いんじゃないかと思って…』
「違う違う…俺が疲れてたのはあの変な女の子の方」
「ヒロト君…!」
噂をすれば何とやらってよく言ったもんだと思いながらナイスタイミングであの子が入ってきた。
「ちょっと、何で居るの?今は私がヒロト君の彼女なんですけど!」
「あのさ、ちょっと良いかな。俺、君を彼女にした覚えもないし、名前も知らないし、それに病室で騒がれるの迷惑だから出て行ってくれないかな」
「という訳だから、出てってよね」
「だから君だって。名前なんだっけ?」
『愛菜ちゃん、だっけ』
「そう、君。うるさいから出てってくれないかな」
「でも…」
「うるさいって、言ってるんだけど」
女の子は顔を歪めて病室から出ていった。いや、ヒロト君普通に怖かったんだけど…。あんな威圧感出せるんだ。
「ごめん、怖がらせちゃったね」
『良いの。この話はもう無しにしよう。ヒロト君は今寝た方が良いし、また具合良くなったら来るから』
「待って、一つだけ言わせて」
『へ?』
「俺は、瑠璃の事ずっと好きだし、瑠璃のせいで疲れてた訳じゃない。これからもずっと瑠璃だけしか好きになれない」
『ありがとうヒロト君。お騒がせしちゃってごめんね。私も大好き。病院だからキスできないけど、退院したらいっぱい出来るから。だから早く治してね』
今日が君と心が繋がった記念日だ。