第21章 Sink! 〈綾織 星羅〉
「…!」
ゴーグルでよく見えないけど、多分驚いてる。
『気付いたのは春奈ちゃんに言われてからなんだけど…。本当だよ?』
「そ、そうか…」
『だから、文化祭の時、一緒に回れた時本当は凄く嬉しかったの。さり気なく手を握ってくれた時も心臓飛び出そうだったんだから』
「それはこっちの台詞だ。パーティの時だって気が気で無かったんだ」
パーティって四月だよね?そんなに前から⁉︎
「あんな綺麗な姿を他の奴には見せたくなかった」
『ふえっ…⁉︎』
「実際浮かれてたんだ。俺の好きな人が無条件で俺の妻になってくれるなんて思ってなかった。きっとお前には将来別な奴が隣に来ると思っていたから」
『今の私には有人君以外には考えられないな』
「あまり照れる事言うな。期待するだろう」
『期待…して良いよ。私だって、好きなんだもん。有人君の事』
「少し、そのままでいてくれ」
言われた通りにそのままでいると、有人君がゴーグルを取っ近付いてきた。その瞬間顎を持たれてキスされた。
『ん…』
「好きだ。お前を愛している」
『…!』
まさかそんなにストレートに来ると思ってなくて赤面してしまう。正面から言われると恥ずかしい…!
「もう一度、良いか?」
そう聞かれたら、Yes以外の答えなんて残ってない。分かってる癖に。頷いて、目を合わせた。
『んん…ゆ…とく…んっ!』
「駄目だな、これ以上は理性が保ちそうにない」
『へ?』
「帰るか。遅くなっても父さんが心配する」
『うん。あの…有人君』
「何だ?」
君から一杯貰った分、返したいから、精一杯背伸びをして有人君の唇に口付けた。そっと離れて反応を見てみると頬が真っ赤に染まって固まっている。
『有人君から一杯貰ったから、お返ししたかったの』
「…」
『あ、あれ、有人君…?』
「し、心臓に悪い…」
『じゃあ、これからもその心臓に悪い事、沢山していくから。だから、大好き』
全然脈略のない言葉だけど、伝えたかった。思ってるより私はずっと有人君中毒のようです。
「お前…それを他の男の前では絶対にやるな」
『し、しないよ!だってこんな事できるの有人君位で…!』
自分で言って赤面する。何て事口走ってるの⁉︎私!
『あ、ええと!違うの!いや、違くないんだけど!』
「星羅」
ほら、君に名前呼ばれるだけで心臓が飛び跳ねてる。君の所為だよ。責任、とってね?