第20章 Hold! 〈朝日奈 乃愛〉
今日はいよいよ文化祭当日。文化祭では、私達一年も有志発表で軽音部としてステージに登る。今日の為に精一杯頑張ってきたし、セトリも頑張って考えてきた。
「おはよー乃愛。今日ステージあるんでしょ?見に行くから!」
『ほんと⁉︎ありがと!損はさせないから!』
友達も結構見にきてくれるみたいで、気合いが入る。絶対に、成功させる。その為に必死に頑張ってきた。私の歌で、誰かの心をちょっとでも動かすことができたのなら、それで良い。お客さんを楽しませるには自分が楽しむ他ない。
「シフト最初の人ー!準備宜しくねー!」
『はーい』
私達のクラスは縁日をやる。私は入り口でチケットを渡す係で、午後にはステージ発表もあるから、シフトは午前中で終わる時間にしておいた。豪炎寺も一緒の時間だったかな。
「そろそろ始まるね…」
『うん』
もう少しで始まる。大丈夫、笑顔でどうぞーって言えば入ってくれると信じてる。始まる合図の音がして、一気に校内に人が入ってくるのが見えた。ひええ…こんなにお客さん来るんだ…。
『一年三組、縁日やってまーす!』
やっぱり縁日も結構客ウケが良くて、沢山の人が入ってくれた。射的や輪投げ、くじ引きもある。流石にそんなに景品は用意できないので、ハズレはあるけれど。
「乃愛、交代だ」
『あ、アフロディ。ありがと。私そろそろ軽音部の準備して来なきゃいけないんだ』
「僕も見に行きたかったけど、シフトで行けそうに無いんだ」
『誰かに動画撮ってもらうからさ。後で送るよ』
「助かるよ。君の歌声を響かせておいで」
『うん!ありがと!』
部室に向かって、楽器や機材の準備をした。皆やっぱり緊張しているみたい。初めての大勢のお客さんがいるステージだから、緊張せずにはいられないよね。特に風花は、こういうのに弱いから、緊張を解してあげよう。
「乃愛ちゃん」
『あ、星羅…!大丈夫?』
「うん。流石に皆に痣は見せられないから重装備だけど…。普通に歩けるし、大丈夫だよ」
『良かった!これからライブあるんだ!良かったら一体に見にきてよ!』
「うん、楽しみにしてるね」
星羅は元気そうだった。でも、長袖のブラウスに黒いタイツ。そしてマスクをして必死に痣を隠しているようだった。でも、そこは鬼道君がケアしてくれていると信じてる。
『あ、瑠璃!ライブ、見に来てね!』
「うん。ヒロト君と見に行くね」