第3章 Burn! 〈朝日奈 乃愛〉
『あたし、朝日奈 乃愛。帝国学園出身で、趣味は歌う事。1年間宜しく!』
取り敢えず元気に自分の自己紹介をする。皆絶対緊張してるし、余計に緊張させないように明るく言った。帝国学園なんて総帥の不祥事があってから評判はガタ落ちだったから、あんまり印象良くないかもしれないけど。
「豪炎寺修也。雷門中出身。趣味はサッカー。宜しく」
豪炎寺なんてまた凄い苗字がいたもんだな、何て考えながら自己紹介を聞いていく。やっぱり偏差値がそこそこ高い進学校なだけあって色んな所から来てるみたいだ。
「誰かHR長やってくれ奴いないか?」
『私やります』
昔からこういうまとめ役は向いていたし、新学期って皆萎縮しちゃうから立候補しない人も多い。こういうのは早く決めちゃった方が後々楽になる。
「じゃ、朝日奈がHR長な。じゃあ、副HR長やってくれる奴」
でも、こういうのって副長やってくれる人少ないんだよな。そう思ってると、隣の豪炎寺が静かに手を挙げた。
「おお、豪炎寺やってくれるか。それじゃあ、頼むぞ」
こういうのやらない人だと思ってた。まぁ、此れから関わる事も多いだろうし、挨拶はしておいた方がいいかもしれない。
「じゃ、チャイムがなるまで近くの奴と話して良いぞ」
チャンスだ。なんだか近寄りがたいけど、これから一年一緒にいるわけだから皆と話しておきたいし。
『豪炎寺、だよね。副HR長やってくれてありがと』
「いや、ああいうのは大体長引くだろ」
『まぁ、新学期だし仕方ないよ』
「そうだな」
フッと笑みを零すところを見ると、炎って苗字に入ってる割にはクールだなって思う。もう豪炎寺じゃなくて豪氷寺でいいんじゃないかなとか思い始める。
「お前、今失礼な事考えてただろ」
『そ、そんな事ないって!』
「正直に言ってみろ」
『い、いや…その、豪炎寺じゃなくて、豪氷寺の方が合ってるんじゃないかなって…』
「…っぷ、ははは」
この人、結構豪快に笑えるのかも。めっちゃしょうもないギャグにツボってるし。
『そ、そんなにツボる?』
「いや…面白くて…つい」
『あはは、やっぱり豪氷寺よりは豪炎寺の方が合ってるよ』
「まだ言うか!」
結構面白い人なのかも。そういえば、趣味はサッカーって言ってたな。
『そういえばさ、趣味はサッカーなんだっけ?』
「ああ。中学もサッカー部だった」