第2章 Start! 〈綾織 星羅〉
「綾織!」
『鬼道君!お疲れ様!凄くカッコ良かった』
「そ、そうか」
『うん!最後のシュート凄かったよ!それに皇帝ペンギン2号だって!ペンギンさん可愛かったし...』
「今呼ぶか?」
『良いの?』
鬼道君が頷いて、口笛を鳴らす。すると地面から可愛いペンギンさん達が顔を出していた。
『可愛い...よしよーし』
頭を撫でると、スカート裾を引っ張って、もっとと言わんばかりに近付いてくる。
『あっ...スカートはダメだよ...?』
「すまない。余程綾織が気に入った様だな」
『ううん。全然。すっごく可愛いし、ありがとう』
「いや...これからはちゃんと躾けておこう」
『真面目だね』
「いや、万が一服でも破かれたら困るからな」
『あはは...そうだ。お弁当作ってきたの。良かったら食べない?』
「良いのか?」
『勿論。その為に作ってきたんだから』
「有難う」
鬼道君に見せると思うと下手に失敗できないなって思って、凄い気合い入れて作っちゃった。お口に合うと良いんだけど。
『どうかな?』
「ああ、とても美味い」
『良かった。夏未にお弁当作ったらって提案されて、頑張ってる鬼道君の為に何か出来ないかなって』
「...」
『鬼道君?もしかして、私何か変な事言った?』
「いや、嬉しくて...」
『何か出来ることがあったら遠慮無く言ってね。私、頑張るよ』
「あ、有難う。その...俺にも出来ることはないか?」
『えっ...と、それじゃあ、私のかるたの大会を見にきてほしいな。鬼道君が居れば頑張れそうな気がするから』
「それだけで良いのか?」
不思議そうに聞いてくる。でも、なんだか本当にそんな気がするのだ。鬼道君が近くにいると自分も頑張ろうって思える。そんな存在なのだ。鬼道君は。
『うん。それだけで良いの。唯でさえ部活で忙しくなるだろうし。私だけわがまま言えないよ』
スポーツ部は季節ごとに沢山の大会があるから、其れ程暇なわけではないだろううから。
「有難う。とても美味しかった」
『良かった。練習試合があったら、また今度作って持ってくるね』
「ああ。ありがたい」
『うん。午後は何も無いの?』
「ああ」
『休息も大事だし、休んでね』
「ああ、そうする」
『また試合あったら言ってね。お弁当持って応援しに行くから』
「助かる」
『それじゃあ、私そろそろ帰るね』
「ああ、また明日」