第4章 訓練初日
えっもしかしてこっちくる…近くなる距離に俯きながらも身構えると、リヴァイ兵長の左手が私の机の上に置かれた。置かれた手はシャツを肘まで捲り上げているので、肌があらわになっている。色は白いが血管が浮かびあがっていて、男らしさを感じてしまう。
「どこまで進んだんだ。」
「あと近年の事件をまとめるだけです。」
リヴァイ兵長の低音ボイスが上から届き、顔は赤面しっぱなしでだったが、この体勢ではバレないだろうと思い、なるべく冷静に答えた。
「ほぉ」
リヴァイ兵長は、私がまとめた書類をパラパラとめくり内容を見ていく。
「やけに詳しいな。」
その言葉を聞いた瞬間、私の顔から一気に熱がひいた。
さっきとは違う動揺を誤魔化すように、私は答えた。
「どの事件も有名だから…。よく、ニュースで見ていたんです。」
察されないように。
こんな所でつまずく訳にはいかない。
無意識のうちに拳を握りしめる手に力が入っている。。
「………そうか。」
私の気持ちが通じたのか、リヴァイ兵長は静かに納得してくれた。
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「おい。3秒で目を覚まさなきゃ削ぐぞ。」
「起きてる、起きてますー。リヴァイ兵長は本当にドSなんだから。そうゆう怖いの、程々にしなきゃダメですよー。」
初日から、7時までパソコンに向かっていたリラを無理矢理帰らせる為にご飯に誘った。「まだ終わってないですー」と半泣きのリラを「上司のメシに付き合うのも立派な仕事だ」とか何とか言って、小料理屋に連れ込んだ。
郷土料理にお酒をたしなもうとしたら、横から同じの下さいとあいつがほざき、今、この状況に至る。
学習能力の無いこの馬鹿は、今日はまだほろ酔い程度で一応会話は出来るが、口調から何から勘にさわる。
削ぐ。絶対いつかこのバカを削ぐ。
そう心に誓い無視を決め込んで酒を口にした。