第4章 訓練初日
カタカタカタ…
時刻は午後6時、通常であれば退社の時間だ。
グンタさんとオルオさんは用事があるとの事で、すぐに帰宅してしまった。
「リラ、何か手伝えることはあるかな?」
資料に囲まれた私のパソコン越しから、エルドさんが声をかけてくれる。
「大丈夫です!あとちょっとやったら切り上げます!」
「分かった、初日だから無理しすぎないようにね」
エルドさんはそう言うと、お先にごめんね。と言って、リヴァイ兵長に挨拶をしてから帰宅していった。さっきグンタさんに教えてもらったが、これから彼女とデートがあるらしい。そんな中でわざわざ手伝おうとしてくれてたなんて、なんて人間ができてるんだと感心してしまう。
という訳で、フロアにはリヴァイ兵長と私だけが残っていた。
リヴァイ兵長も、カタカタとパソコンをいじってはいるが、先程まで机上にあった書類の束は無くなっている。
もう、終わってるのかな?と思い、顔を上げてみる。
リヴァイ兵長の机は私の左側に対面してくっついている為、思ったより近く顔が見える。画面を見つめるその表情は相変わらず険しく、眉間にシワも寄っているが、肌はきめ細かく近くでまじまじと見ると惚れ惚れしてしまう。
本当に美少年だなぁ。ずっと見れちゃうや。。
完全に私の手は止まりリヴァイ兵長に釘付けになっていた。
「人の顔を眺める時間があるなんて随分余裕じゃねぇか」
リヴァイ兵長はパソコンの画面を見たままなのに、こちらに話しかけてくる。
「えっ…」
「なんだ、物欲しそうな顔しやがって。また追加のメニューを増やして欲しいのか?」
リヴァイ兵長は、片方の肘を机について手の甲に頬を乗せた状態で、目線をパソコンの画面からこちらにうつす。
「だ、大丈夫です。間に合っています。」
これ以上の仕事が欲しいなんて、そんなドMな顔した覚えありません!!心の中で全力で否定しつつ、見つめすぎていた事がバレて赤面してしまう。
赤面した顔を隠そうと俯いていると、リヴァイ兵長は静かに席を立った気配がした。