第4章 訓練初日
「あれ?兵長後ろですか?」
「あぁ。俺はここでいい。先頭はエルドお前に任せる。」
兵長が後ろなんて珍しい。
今の順番はこうだ。俺、グンタ、オルオ、リラ、兵長だ。
まぁ、何かお考えがあるのだろう。そのまま、本部のタイムキーパーに目を配りスタートの合図を促す。
「リヴァイ班、よーい、始めっ」
合図と共に、今日何度目か分からない階段を駆け上がった。
ーーーーーー
「ラスト10秒!」というタイムキーパーの声が下から聞こえる。残すはあと僅か。下りだから限界を突破している足がもつれそうになるのをグッと堪える。
「ラスト7、6、5、」カウントダウンが頭に響いている。いけるかいけないか際どいところ。最後の力を振り絞って足に力をいれる。
「4、3、…」
残すは10段程。ダメだギリギリ間に合わない!感覚でわかるが決して諦めない。。
フワッ
「えっ……」ラスト3秒で襲った浮遊感と、首元の苦しさに目線だけを左にスライドさせた。リヴァイ兵長が私の首元の襟を掴み、階段を飛び降りている。嘘でしょ、まだ10段も…
浮遊感と一気に近くなるオルオさんの背中に、そのまま2人で飛びこんだ。
「…1、終わり!!」
「ぐぇ」
本部のタイムキーパーの方が叫ぶと同時に、オルオさんの死にそうな声が重なった。
ゴールした姿は酷いものだ。エルドさん、グンタさんは先にゴールしたが、その後にゴールしたオルオさんの背中に私が乗っている状態である。オルオさんは舌を噛んだのか、倒れたまま白目をむいている。ちなみに私を投げた張本人は涼しい顔をして横に立っている。
「リラ、やったね!クリアしたよ!」
「オルオは死んだがな」
エルドさんとグンタさんが近寄り頭を撫でてくれる。
「すいません、、。本当に、、。本当に、ありがとうございました!」
ゴールした達成感でちょっと目が潤んでしまった。
「喜ぶにはまだ早ぇ。」
感動の雰囲気が3人に漂っていたのに、リヴァイ兵長は切り裂くように一言いって、どこにそんなのあったの?ってサイズの丸太を指差した。
「喜べ。素敵な別メニューだ。」
瞬間、3人とも白目を向いた。