第71章 クマ再び
直接は見てないけど…だってまだこの世界に来てなかったしね。だからこそロジャーへの知識はあっちの記憶と、本だけで取り入れたものに過ぎない。確かロジャーの最後の言葉はこうだった。
――おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろ。この世全てをそこに置いてきた――
「残り数秒僅かに灯った”命の灯“を、奴は世界に燃え広がる”業火”に変えた。あの日ほど笑った夜はない…!!あの日ほど泣いた夜もない……!!我が船長ながら…見事な人生だった…………!!!」
レイリーさんが話し終わった後、私達は生唾を飲み込んだ。何も言えなかった。話が壮大すぎて…余韻がヤバい。
「なんか、スゴイ話聞いちゃったみたい…当事者から聞くとまた別の話みたい。」
「じゃあ…まるでこの海賊時代は意図してロジャーが作ったみてェだな。」
「……そこはまだ…答えかねる…ロジャーは死んだのだ。今の時代を作れるのは、今を生きてる人間だけだよ……………!!」
結果的にロジャーの一言で海賊時代が始まったわけだから、ロジャーの思惑だったって言っても間違いではない気もするけど。でも、レイリーさんの話を聞いて、ただの海賊王ゴール・D・ロジャーだったのが、一人の人物として見ることができた。本当にすごい人だったんだな…
「あの日、広場でロジャーから何かを受け取った者達が確かにいるとは思うがね…キミのよく知るシャンクスもその一人だろう。」
「え?おっさんシャンクス知ってんのか!?」
「|東の海《イーストブルー》ならバギーという海賊も知らんか?」
「「「バギー。」」」
「アレは二人共ウチの船で見習いをやっていた。」
「えーーーーーーっ!!!シャンクスは海賊王の船にいたのか!!?」
「何だ…聞いとらんのか…」
私は知ってたけど…そっか、ルフィは知らなかったんだよね。まぁ私は異世界人で、シャンクスも異世界人と一緒に旅してたからって理由があるからなんだけど…
「10年程前か…この島でばったりとあいつと会ってな。トレードマークの麦わら帽子と…左腕が失くなってた。」
「うっ、」
「理由(わけ)を聞くと、嬉しそうにキミの事を話すんだ………!!」
――レイリーさん、おれァ本当に驚いたよ!!!|東の海《イーストブルー》に…!!ロジャー船長と同じ事を言うガキがいたんだ…………!!船長のあの言葉を…!!!――