第68章 ボスの素顔
「助けないと……っ、」
「なまえ!!」
言葉より先に海にダイブしていた私。自分の能力を使って早く泳ぐことができる。仲間が助けに行くより幾らか早いだろう。しかし目の前にいたサンジがどんどん遠ざかっていく。焦っていると、
「大丈夫だよっ!!」
「………っ!?」
ポン、と肩を叩かれて振り返る。そこにはケイミーがいて、にこっ、と笑うとサンジの元へ泳いでいった。早い。…そうか、人魚って泳ぐの一番早いんだっけ。ここはケイミーに任せよう、そう思って引き返す。少し、悔しい気持ちもあるけど。
「ぷは、」
「“ガオン砲”!!!」
ドン!!!
「うわっ!?」
水面に出た瞬間に爆発音が鳴り響いた。驚いて構えてしまうが、その大きな原因がサニー号だと悟った。サニー号の船首のライオンって口開くんやな。これは男陣が喜びそうだとルフィを見ると、目はキラキラ輝いており、感動しすぎて涙を流していた。
「うははは!!見たか、サニー号の実力!!」
「今のでほとんどのトビウオが落ちたぞ!?」
「そいつはウソップの腕だな。初めてで見事だぜ!!」
そうか、でも船首から大砲みたいのを出す船なんてサニー号だけだろうし…本当にこの船は超人的な能力を持っている人がいるんだな。いうて私も例外ではないんだろうけど。
ザバッ
「…あ、ケイミー……って、え??」
「ケイミーー!!」
「よかった、サンジ無事か!?」
「ハァ…ハァ!!みんな!!大変なの、サンジちんすごい出血で!!」
私の声に反応したナミとチョッパーが心配そうに、顔を出したケイミーに話しかける。戻ってきたケイミーはしっかり胸にサンジを抱いていて、ミッションは成功…と思われたが。
「助けたと思ったら、鼻からいっぱい血を吹いて…」
「……!!鼻血……??」
「……………みんな、いつものやつ。気にしなくていい。」
やや呆れ気味に心配しているチョッパー達に伝える。上向いて鼻血を垂らしてるサンジの元へ寄れば分かるが、彼は目をハートにしてとてもニヤけているのが見える。ケイミーがサンジの顔を胸に押し付けて抱いているのが原因だろう。追い打ちで殴ってやろうかと思ったが抑えた私偉い。