第68章 ボスの素顔
自分で自分にタコ墨をかけたのだろうか、はっちんは真っ黒だった。しかもポタポタ滴ってるから、ついさっきやったのだろう。私達に会いたくなかったのか、正体を隠すためか…これはもうクロに近いだろ。
「……やっぱ聞いた声にあの珍しいシルエット……おいナミ、どうだ。」
「う〜ん………怪しい…っいうかほぼ……」
「何が?」
「カマかけてみたらどう?」
「そうだな、聞いてみよう。おい!!アーロンは元気かァ!?」
「ニュ〜!?あァ!!アーロンさん!?あの人もチュウもクロオビも、みんな海軍に捕まったままよ!!おれ一人で脱獄してきて、今昔からの夢だったタコ焼き屋やってんだけど……しまったーーーーー!!!」
「「「おめェかやっぱりーーっ!!!」」」
アーロン一味、タコの魚人ハチ。ナミの故郷ココヤシ村を占領して酷い仕打ちを受けてきた。少しカマかけただけなのに、出るわ出るわボロが。やっぱりバカだわコイツ。
「なあに?」
「あー、前にちょっとな……………ナミの故郷は昔、“アーロン一味”っていう魚人海賊団に支配されてて、あのタコはその一味の幹部だったんだ!!」
「は〜ん…知った敵なのか…」
「まあ当然おれ様がルフィ達を引き連れて殴り込みをかけ、一味は壊滅……!!!魚人達は海軍にしょっぴかれたハズなんだが、あいつ一人脱獄したようだ…」
「成程、人に…歴史あり…」
正しくはルフィが、あんたらを引き連れて殴り込みをかけたんだけどね。確かに幹部の一人であるチュウを倒したという実績はあるけども。
「何だお前だったのか、“はっちん”ていうタコ焼き屋は!!!アーロンとこのタコッパチ〜〜〜!!そうとわかりゃおれ達はお前なんか助けねェぞ!!!」
「ニュ〜…………………」
「………!!でも!!お…!!お前のタコ焼き…!!そん〜なにうめェのか!?」
「揺れんな、食欲と理性の狭間で!!」
タコ焼きの為にここに来たんだもんねルフィは。でもさすがに…あの時ぶっ飛ばしたとはいえ、ナミを苦しめた一味だったということは変わらないし、敵だったし…