第66章 2人目の七武海
暫くして一緒に行ったはずのゾロを置いてクマだけ戻ってきた。ゾロはどうなった、と聞くのも怖くて気絶してるルフィの手を握りながらクマを見上げる。
「約束は約束だ、“麦わらのルフィ”には手を出さない。」
「………うん、」
「“海賊狩り”に免じて、今日この場ではお前も見逃そう。」
「…………」
「次は海軍本部に送り届ける。」
異世界人は世界を滅ぼすような力を秘めている。異世界人が乗った船は海賊王を生み出すかもしれない、だから重要人物であり危険人物。それは理解したけど…捕まった先、何をされるの?
「……わ、私を捕まえて、政府はどうしたいの…」
「おれと一緒だ。感情を全て取り除き、ただ政府の為に動く人間兵器となる。」
「え、やだ……」
「決まったことだ。嫌なら捕まらなければいい。」
「………あ、ちょ…」
クマは消えてしまった。本当に私は見逃して貰えた。捕まらなければいい、だなんて簡単に言ってくれるよ……私はまだこの状態だ。自分の身を自分で十分に守ることもできない。違う、今はそれよりもゾロだ。こっから少し離れた森に移動してたな…走ってそこへ向かうと、ゾロが立っているのが見えた。
「え、……ゾ、ゾロ?大丈夫……?」
「………あ"あ"。」
「いやそれ絶対無事じゃない奴だよね!?無理しないで、今楽にしてあげるから!!」
久しぶりにネックレスを光らしてゾロに手をかざす。自分の体力を削って相手を回復させる魔法みたいな能力だ。結局これ使うと自分が使い物にならなくなって余計迷惑をかけるから、最近は使わなかったけど…チョッパーもまだ気絶してるし、このままではゾロも死んでしまうかもしれないので出し惜しみしてる場合じゃない。全体力を使ってゾロを回復させる、そう意気込んで、どうかゾロが死にませんように…とそう祈った。