第66章 2人目の七武海
「そんな体をして…しかも“能力者”か。さらに希望をそがれた気分だ……!!…さすがにもう……おれの体も言う事をきかねェ。ハァ……………どうしても…………!!ルフィの首を取っていくのか………!?」
「それが最大の譲歩だ。」
「…………わかった。首は…やるよ。………………ただし身代わりの、ハァ……このおれの命一つで!!勘弁して貰いてェ………!!!」
「ゾロ……っ、そんなの、」
「……まだたいして名のある首とは言えねェが…………やがて世界一の剣豪になる男の首と思えば取って不足はねェ筈だ!!!」
そんなのルフィが許すはずない。そう言おうとしたのに遮られてしまった。誰の犠牲も出さずに、ルフィなら自分が死ぬまで戦うだろう。でもそのルフィが気絶していて、自分に敵わない相手だから…そういう選択を取るしかないのか。本当に?
「そんな野心がありながら…………この男に代わってお前は死ねると言うのか。」
「…………そうするほか…今、一味を救う手立てがねェ…!!!船長一人まもれねェでてめェの野心もねェだろう。ルフィは、海賊王になる男だ!!!」
「ゾロ!!それなら、私が犠牲にならないと駄目でしょ!?私はこの船の、副船長で…ルフィの、」
「お前が死んだらルフィに怒られるだろ。」
「私だって、ゾロをそのまま見殺しにしたら怒られるよ!!!」
理由が分からない涙が出てくる。船長が倒れている今、全責任はゾロよりも私の筈だ。その道理でいくと犠牲になるのは私の方が筋が通るはずだ。そもそもの話、この一味の誰も欠けてはいけない、欠けさしちゃいけないのに…涙を乱暴に拭いながらクマに向かって叫ぶ。