第63章 その名はオーズ
「楽しみだな…『氷の国』にてアイツの死体を見た時は、身震いがして止まらなかった。500年の昔、こんな悍ましいものが海で暴れていたのかと息をのんだ…!!討ち取った国を島ごと自分の領土へ持ち帰り、悪党達の国を築いたという、世に名だたる“国引き伝説”を残した張本人がそこにいた…!!!」
「これがゾンビ造りの醍醐味…」
「また伝説が一つ蘇る。キシシシ!!さァ………!!復活の時だ!!歴史上に唯一人…“魔人”と呼ばれた狂戦士!!!“オーズ”よ!!!!」
通路を抜け、広い部屋に出たと思った瞬間バカデカイ巨人が現れた。見た瞬間悲鳴を上げそうなほどに大きくて、グッと声を出さないように抑えた。ご主人様と呼ばれた人は、ルフィの影を持って巨人の前に立った。
「始めようか…!!」
「何だ…コレ。きょ…巨人の…死体!?巨人にしてもデカすぎる。」
「この巨体に合う強い影を見つけるまで、こうやって保存してたのか…悪趣味…」
「………う…う……!!」
「声出さないでよ、チョッパー!!たえて!!」
そうだ、ここで叫んでしまったら、どうやって影というものを入れるのかっていうのも見れなくなってしまう。今ルフィと、あと捕まったって言ってたゾロとサンジ3人の影が取られているのだから、せめてどうやって入れてるのかっていうところを見なければ…
「静まれ!!麦わらのルフィの影よ!!おれがお前の新しい主人だ!!今からお前がゾンビとして生きる為の、声と肉体を与える。過去の一切の人間関係を忘れ去り、おれに服従する兵士となれ!!」
大人しくなったルフィの影は、そいつとの契約を聞いて頷いた。なるほど…そうやって主従関係を作るのか。
「キシシシ、契約成立だ。」
「シンドリーちゃんも“過去消去”の契約を結んで貰うべきだったな……そしたら皿で食事できたのに。」
「あんたのヒザの皿も割れたらいい。」
「コワッ!!シンドリーちゃん、今のおどし超コワイ!!!」
過去消去……あのルフィの影も、私達と冒険したことととか人物の記憶とかも全部なくなったってこと?ペローナの庭にいたあのゾンビ達も、あの犬ペンも…記憶がなくなって主人に絶対服従状態になってるってことだよね。
「……さァ、目覚めろ………!!!500年の眠りから……!!!」