第61章 ドクトル・ホグバックの屋敷
後ろからは大量の絵画ゾンビが追ってきてる。とりあえずヒルドンが案内したがってた2階に行くべきか、さっきのお風呂の通路を走るか…と考えてるとき、横から現れたゾンビに驚いたチョッパーに当たり私達は暖炉の中にコケてしまった。
「うわァ、ここ…暖炉の中だよっ!!」
「何でよりによってここに入っちゃったの!?」
「ダメだ、もう逃げ場が!!!」
とりあえず何かあっても私が守れるようにと構えたはいいものの…ここじゃ攻撃を回避することしかできない。絶体絶命、その時…ギギ、と暖炉の奥の壁が反転して廊下に放り投げられた。
「ん?どこだここは!!」
「……隠し……通路?」
「しめた!!逃げるわよっ!!」
しかし締め出された廊下でも絵画があり、どっとにしろ追われる目に合う。さっきから大声叫んで全力疾走して、怖いやら疲れるやらで精神が削られてくる。
「廊下はダメよ!!絵のある場所はダメ!!どっか…あの部屋へ!!!」
目の前にある部屋に飛び込んで何とか鍵をかけて絵画ゾンビからは逃げ切れた。ほっ、としたのもつかの間、目の前にはまた絵画が……って
「いや……写真か、よかった…ゾンビじゃねェな…」
「何か……見た事ない?」
「これ…あのコじゃない…!?お皿が嫌いな…シンドリーちゃん……!!何?この部屋。」
壁という壁にシンドリーちゃんの写真が飾ってある。今まで行った部屋のどこより綺麗な部屋で、ここだけ異空間みたいだ。
「改めて見るとキレイな人ね…使用人のシンドリーちゃん。」
「本人の部屋か……?」
「自分の部屋にこんなに自分の写真を飾る?」
「でもあいつはよ、顔にも体にもすごい縫いキズがあったぞ。」
「確かに…ここの写真にはどれにもないな…別人ってわけでもねェだろうから…昔の写真か……………!!」
それにしてもどこを見てもシンドリーちゃんの写真が飾ってあるのは結構珍しいな。どっかのオタクみたい…それかシンドリーちゃんの大ファンなのか。でもここホグバックの屋敷なわけだから、もしかしたらホグバックの…いや、止めとこう。
「ビクトリア・シンドリー………」
「ん!?」
「ずいぶん有名な舞台女優だったみたい。見て、これ全部彼女に関する記事よ。」