第9章 VS道化のバギー
「おいゾロ。やっぱり休んでろよ。おれがやるから。」
「曲技っ、“火事おやじ”!!」
カバジの口から火が出た!!なんだこいつ、なんで火が…手品師なのかな?しかし火でバランスを崩してしまったゾロ。そこを狙ってカバジは怪我しているところに1発蹴りをくらましたのだ。
「ぐあああああ!!!くそ!!」
「なんだ。そんなに強く蹴ったつもりはないが?」
「汚い奴っ!!あいつ傷口を狙って…!!」
「曲技っ!!“湯けむり殺人事件”!!」
カバジは地面から土をほじくりだし、土埃でゾロの視界を奪う。なんていうか、曲技の名前がダサすぎる。ネーミングセンスゼロかよあいつ。そして二発目をまた脇に入れる。
「うああああああ!!!」
「あいつまた!!」
「どうした?大の男が大声でわめいてみっともないぞ…貴様の相棒の妙な能力のおかげでこっちはとんだ災難だ。いくら“海賊狩り”だとて我々バギー一味を敵にした事は失敗だったな。」
「あんな深手で戦うなんてもともと無茶なのよ!!あんた何黙ってみてんの!?あいつ殺されちゃうわ!!」
私もルフィには正直止めてほしかったが、ルフィがあまりにも真剣にこの戦いを見てたものだから私も何も言えない。見てるだけでこっちも痛くなる戦いだな。
「ロロノア・ゾロ!!討ち取った!!」
倒れたゾロに向かって一輪車の速度を早めるカバジ。これ、本当に大丈夫だろうか。カバジが剣を振り上げると……ゾロが立ち上がってカバジの剣を弾いた。まだたてるの!?
「うっとうしい野郎だぜ!!おれの傷をつつくのがそんなに楽しいか!」
そういったゾロは自分の剣の刃を怪我したところに持っていくと、勢い良く斬った。
「ひっ!!」
それが結構深くて、血が大量に出てた為私は直視できなかった。
「おれの剣が目指すのは世界一…ハンディはこれくらいで満足か?おれとお前の格の違いを教えてやるよ。」
「うおーっ!!かっこいいーっ!!」
ルフィから声援が出る。確かにこれはかっこいい。脇は痛いが。
「……これがロロノア・ゾロか…ナメやがって…!!」
「ああ…!見てるだけで倒れそう。」
「分かる。怪我してないのに凄く脇が痛い…」
そういうナミも私と同じように脇を抑えていた。ナミとは凄く話が合いそうだ。