第61章 ドクトル・ホグバックの屋敷
「ここまで来たら屋敷に逃げ込んだ方が近いぞ!!」
「ああ、そうしよう!!」
「…っ、でも私もう走れな……っ」
「大丈夫だ、墓地さえ抜けて猛ダッシュすりゃ追いつきゃしねェ!!ゾンビってのはノロノロ呻きながら歩く事しかできねェんだ!!」
「待てクラー!!!」
「速っ!!!」
ウソップに引っ張られながら何とか頑張って走ってはいるが、体力が元々ない私にとってはマラソンは無理だ。ウソップの言う通り、ゾンビは私もそういうイメージがある。しかし振り向いたら、そのゾンビはとてつもない速さで追っかけてきているのだ。
「ウゥオオォーーー!!!」
「「「うわああああああ!!!」」」
「ゼー、ゼー、ちょっとタンマ。」
「体力なっ!!!」
全力で追いかけてくる為に、全力で逃げるしかなかった。しかしお墓を抜けたところでゾンビ達はゼー、ゼーと息切れをし始めた。でもそのおかげで無事にゾンビを撒くことができた。
「ハァ…ハァ…もう…追って来ねェよな…ハァ…何なんだこの島…!!生きてちゃいけねェ、生き物だらけだ…ハァ…お前ら…おれがもしこのままゾンビ化したら…いっそ一思いに…」
「あんた恐がりのクセにそういうの本の読みすぎなのよ。」
「気持ちはわかるよ。」
私も恐がりだけど、本とか話とか聞くのは大好きなのだ。怖いからこそ自分を守る為に情報を得る。…と話している間に、目の前には大きな屋敷が見えた。どっちにしろここへ来るなら大人しく運んでもらえばよかったかな。
「……さァ、ついたぞ……とにかくおれは水が一杯欲しい。」
「…………ハッ…結局会えるんだ………!!楽しみだ。」
「見た目めっちゃ怪しい建物だけどいいの?」
「私もこんな島に…まともな人間が住んでるとは思えないわ。賭けね。」
高くそびえる怪しい建物。霧のせいもあるのか、こここそ本当のオバケ屋敷って雰囲気でちょっと怖い。でもさっきのゾンビに会うくらいならまだ建物の方が楽だ。
「すいませーーん!!!ドクトル・ホグバック氏の屋敷はここでしょうかー!!?開けて下さーい!!旅の“海…”!!“船乗り”ですけど!!!ごめんくださーーーーーい!!」
「何だこの屋敷、真ん中がトンネルになってるぞ。向こうには中庭がみえる。」