第60章 ようこそ、ゴースト島へ
「ねェ…この馬車を引いてる馬、霧でよく見えなかったけど…少し…変わってなかった?」
「本当?よく見てなかったな…」
「気のせいでございまし…ヒヒヒヒヒ。」
「そ…それならいいんだけど…………」
その笑い方がいちいち不気味なのよ…本当に気のせいであったらそんな疑うような感じで言わないでもらいたい。一抹の不安を感じながら、今は大人しく馬車に揺られる。
「とにかく助かった。危ねェとこありがとう。」
「いえいえ…どうぞ、ワインでも。この森には変わった動物が多いので、ただ歩くだけでも危険でし。」
「うん、驚いた!!ケルベロスなんて空想上の生き物だと思ってたから。」
「突然変異か何かだろ、あの恐ろしい姿。」
「木の上から降りられなくてどうしようかと思ってたとこなんだ。」
「お仲間達を待つのなら屋敷が一番でし。目立ちましし、安心でし。」
うー…ん、本当にそうなんだろうか。まぁ…でもどうせあの4人は元々ここに上陸する気だったし、冒険しがてら私達のことを探しにきてくれるだろう。
「それに!ドクトル・ホグバックにも会えるしな!!」
「そんなに有名なのか。」
「医者でその名を知らない奴はいないよ!!“天才外科医”なんだぞ!!奇跡の様な手術で星の数程の人達の命を救ってきたんだ!!地位も名誉も医者として得られる全てを手に入れて…世界中の医師達からの尊敬を集めてた…!!!だけどある日突然姿を消したんだ。失踪事件とも…誘拐事件とも言われて医学界は一時大変な騒ぎになったけど、結局何の手がかりも掴めないまま今はもう“ホグバック”という名前は伝説になりかけてるよ。」
そんなに有名な人がどうしてこんな変な島にいるんだろう。確かに身を隠すにはうってつけの場所なんだろうけど…よくある、有名になり過ぎて疲れちゃったってやつなのかな。どっちにしろチョッパーはその人のことを心から尊敬をしているようで、目がキラキラと光っていた。
「さいでし。Dr.はこの島で今もなお、人智を超えた研究をなさっておいででし。」
「サイン頼んでもいいのかなー!!!」
「それくらいは大丈夫だと思いましでし。」
「キャーーーーーー!!」
「「「ギャアーーーーー!!!」」」
ワクワクとしているチョッパーを微笑ましく眺めていたら、ナミが悲鳴を上げた。その悲鳴で私達も驚いて悲鳴を上げる。何事!?