第60章 ようこそ、ゴースト島へ
「さすがなまえ!!助かったわ。」
「最初からやってくれよ、それを!!」
「ごめん、忘れてた…逃げるのに夢中で。」
ウォーターセブンでは青キジに宝石奪われちゃっていたから能力を全く使えなかった。だからついつい忘れてしまったんだとにへら、と笑う。でも空を飛んでいたおかげで、階段を登って追ってきたケルベロスは完全に私達を見失ったようだ。
「どうしよう。だいぶ森へ入り込んじゃった…」
「あんなのが歩き回ってるなら、目立つ場所で助けを待つのも大変だぞ。」
「なまえの雲で船まで戻ればいいんじゃねぇか?」
「…あ、申し訳ないが雲もう作れんわ。まだ能力をちゃんとつかめてなくて…」
「「早く慣れろ!!!」」
「うっ…ごめんて……」
雲が使えるようになったのは空島。そっから青海に戻ってきて、ロングリングロングランドでしょ。すぐ奪われたわけだから、練習する時間が十分に取れなかったんだってば。
「もし………」
「「「ギャーーーーー!!誰だ!!?」」」
雲から降りて木の枝の上に乗って避難してた私達だったが、すぐ近くから声が聞こえてきて心臓が飛び出そうになった。コウモリの様な服を着て、私達の隣に逆さまにぶら下がっていたのだ。
「私は…ヒルドンと申しまし。野犬に追われていらしたので、お困りなのではと背後から忍びよりました…ここらの森はこれから夜が深けて参りましと、この世のものとは思えぬ程に危険な森へと変化致しまし…もしよろしければ………私の馬車でお屋敷へいらっしゃいまし…ドクトル・ホグバック様のお屋敷へ…」
「え…ホグバック!!?」
とてもとても怪しい人がとても怪しいところへと連れて行こうとしている。十分に警戒して断ろうかと考えていたとき、チョッパーが大きく反応した。チョッパーの憧れの人らしい。あんまり森の奥へと行くと、ルフィ達に見つけてもらえないんじゃないかということと、単なる恐怖で本当は嫌だったが……キラキラしているチョッパーにやめよう、とは言えない私達は結局誘いに乗ってしまったのだ。