第60章 ようこそ、ゴースト島へ
「それで喋るガイコツの完成か!白骨でもちゃんと蘇っちまうところが“悪魔の実”の恐ろしい所だな。」
「もう半分呪いじゃねェのか。その“実”はもう役目を果たしてカナヅチだけ残ってんだろ。」
「しかし白骨死体にふつう毛は残らねェよな。ガイコツにアフロって…」
「毛根強かったんです。」
「まあ…何でもいいが………」
人生をやり直せるのはいいけど、その後はただ泳げないだけっていうのも嫌だね。悪魔の実っていうのは、半永久的に自分の戦闘能力をあげてくれるものだとザックリと思っていたけど…これに関しては例外に思える。
「じゃ、お前オバケじゃねェんだな!?つまり!!」
「人間なのか、人間じゃねェけど!!」
「ええ、私オバケ大嫌いですから!!そんなものの姿見たら泣き叫びますよ私!!」
「あんた鏡見た事あるの?」
「ギャーーーーー!!やめて下さい、鏡は!!」
オバケが嫌いなガイコツって面白いね。散々怖がってたウソップやチョッパーもやっとブルックに近づいて確認を取る。しかしナミが鏡をブルックに向けた瞬間悲鳴をあげた。
「え!?おいちょっと待て!!」
「鏡は…!!」
「お前何で………!!鏡に映らねェんだ!!?」
「ほんとかー!!?スゲーーな!!!」
自分の姿が鏡に映ると、ガイコツだから怖いのかななんて思っていたが…そういえことじゃなさそうだ。鏡に映らないなんて…オバケというより…
「バ…吸血鬼(バンパイア)か!!!?い…よく見りゃお前、“影”もねェじゃねェか!!!」
「うわーー!!!本当だ!!!お前は実は何者なんだー!!!」
ズザザ…と後ずさる。この世界にもヴァンパイアなんているんだね。…いや、珍しいから怖がってるのか?ブルックはそんな私達を見て…一服ついた。
「いや落ちつくとこかよ!!!」
「こっちは騒いでんだぞお前の事で!!!」
…何か深いわけがあるんだろうか。ナミと一緒に机を挟んでブルックと距離を取っていたが、スッ、とイスに座り直す。
「全てを一気に語るには…私がこの海を漂った時間はあまりに長い年月………!!!私がガイコツである事と…影がない事とは全く別のお話なのです。続く。」
「話せ!!今っ!!!」
サンジがイライラするのも分かる。さっきから妙に落ち着いていて、中々本題を話そうとしない。