第59章 新しい仲間と船と
『ねぇ、みんな!!海に何か浮いてるよ!!』
「なんだなんだ。」
「タル!?見ろ!!“宝”って書いてあるぞ!!!もしかして!!『宝船』の落とし物じゃねェか!?」
「「お宝!?」」
お宝と聞いて慌てて下へ降りる。確かに重そうで大きい樽があった。船に持ち上げみんなでワイワイと囲んでいたが…
「残念、お酒と保存食よ。」
「何で見てねェのにわかんだよ!!」
「『海神御宝前』って書いてあるでしょ。それは『流し樽』といって、誰かが航海の無事を祈って海の守護神にお供え物をしたって事よ。『宝前』は“神様へ”って意味。」
さすがナミだ。そっか、宝物が入ってないのは残念だけど、でも結構珍しいの拾ったんじゃない?保存食なんていくらあっても良いわけだし、貰っても…
「おう、せっかく酒だろ。飲もうぜ。」
「え、もう飲んじゃうの?」
「バカ!お前バチが当たるぞ!!」
「お祈りすれば飲んでもいいのよ?」
「おれは神には祈らねェ。」
神様にお祈りして、だなんて確かにゾロには無理そう。まぁでも1番海賊らしいっちゃらしいかもしれないけど。
「波にもまれたお酒は格別に美味しいんだって。」
「そりゃ味わうべきだ!!よし、乾杯するぞ!!」
「飲んだ後は空樽にまた新しいお供えを入れて流すのがならわしよ。」
「へー…」
「開けろ開けろ、早く!」
「おい神様ー!!!おやつ貰うぞー!!!」
「空島で“神”をぶっ飛ばしてきたのはどこのどいつだよ…」
ルフィが神様に向かって軽く挨拶をした。ゾロのツッコミに確かに、となったが…まずあいつ神様じゃない。樽は鎖や紐などで固く結ばれていて、そう簡単に開かないらしく大分奮闘して開けていた。