第8章 海賊泥棒
ナミの言葉で振り返ると、ルフィが立っていた。ゾロを確認しに行ったの?それにしては遅かったな。
「あんたが海賊の仲間集めて町を襲い出す前にここで殺してやろうか!!」
「おいやめんか娘!!」
な、何に怒ってるんだろうナミは。ルフィが火を付けたんじゃないことはわかってるでしょ?それとも、怒りの矛先を近くの海賊であるルフィに変えてるだけ?
「お前なんかにおれがやられるか。」
「何っ!!?よーし、やったろうじゃないの!!」
あーあー、ルフィったら。ナミを怒らせるようなことを言っちゃって。
「やめろっちゅーんじゃ、何なんじゃお前らはっ!!」
必死にナミを止めるブードルさん、お疲れ様です。ルフィがシュシュの隣に座った。
「ルフィ…?」
「これしか取り返せなかった!あと全部食っちまいやがってよ!」
とん、とシュシュの目の前にドッグフードを置いたルフィ。そっか、ルフィはあいつらを追っかけてやっつけてくれたんだ。シュシュのために。ルフィも火事には気づいてたんだな。
「よくやったよお前は!よく戦った。まあ見ちゃいねぇけどな。大体分かる!」
シュシュは黙ってペットフードを口に咥えると、町のハズレへと移動し始めた。途中でくるっ、と振り向いたシュシュはペットフードが落ちることなんてお構いなしに
「ワン!!」
と一声ないてルフィに感謝を伝えた。
「おう!お前も頑張れよ!!」
「ワン!!ワン!!」
そう答えるように吠え、今度こそ行ってしまったシュシュ。私はというと、一回目のシュシュの鳴き声によりもう泣きだしてしまっていた。嬉しくて、シュシュが可哀想で、でもいじらしくて…私こういう動物系のものは涙もろくなってしまうんだよね…
「なんだお前、何泣いてんだよ。」
「うっ、うぅ…シュシュが…鳴いて…ひぐっ」
「?よく分かんねぇやつだなぁ。」
そう言いながらも頭なでてくれるルフィ大好き。さすがお兄ちゃん、抱擁力は抜群である。