第8章 海賊泥棒
「しししし!よっし、おれちょっとゾロの所に行ってくる。あの着ぐるみ男、ゾロ探してたみてぇだから。」
「じゃあ私はシュシュのいる店に行こうかな。ちょっと気になるし。」
「バカよせ!!今度こそライオンに食われるぞ!!」
ルフィと別れて、私はナミとブードルと共にシュシュの元へと行った。建物を曲がって、元いた道へと進路を変えたとき…何か燃えてるのに気がついた。
「?……なにか、燃えてる?」
「!!あ、あれはシュシュのいる店じゃ!!ペットフード屋が燃えとるんじゃ!!」
「えっ!!?」
急いで店へと走っていく。すでに遅かったのだろうが、まだかろうじて店は建っていた。とりあえずナミとブードルさんを遠くへ避難させて、私は火の消火へと向かった。
「ちょっと!あんた危ないわよ!」
腰に巻いてた上着を精一杯仰ぐ。我ながらかっこ悪い消火の仕方である。私の能力はあの時、水だと分かった。こういう時に水が自由自在に使えるととても便利なのに…何故反応しないの?こういうのって主人が必要な時に反応するものじゃないの?その時、胸元にある石のペンダントが青く光る。まさか…と思えば、手からそろそろと水が出てくるが、これじゃまるで水道の威力しかない。足を踏ん張り、もっと力を入れる。すると、自分でも驚くぐらいの水の量が出てきたのだ。消防車のホースも顔負けなくらいの水の量。
「あ、あんた何者なの…?」
「わ、分からない……」
私だって何者なんだか知りたいよ。ここにいる人達よりも私の存在は不確かだ。だれもこの世界に来たことを知らないし、分かりもしない。今はただただいきなり反応して出てきた水をどうにか操ることで精一杯である。
といっても、水の量が半端なかったおかげでものの数秒で鎮火した。でも、店は木でできていた為、もろく崩れてしまったのだ。店はあとかたもなく消えた。
「ごめんシュシュ、守れなかったよ…」
いつの間にか吠えなくなっていたシュシュに謝る。シュシュはただ、じっと店の残骸を見ているだけだ。
「どいつもこいつも…!海賊なんてみんな同じよ…!!人の大切なものを平気で奪って!!」
「ん?」
「あら海賊、生きてたの…!てっきりライオンに食べられちゃったのかと思ったわ。」
「おい…何言い出すんじゃ。」