第55章 叫び
「ワハハハ、だがその点心配すんな。階段に辿りつける奴なんざいねェよ!!」
「………ハァ、でも…門はくぐらない……………!!!」
「あァ!!?」
「ハァ…『助ける』と……ハァ…言ってくれたから…!!!」
「誰も来やしねェよバカ女!!!どいつもこいつも“バスターコール”の業火に焼かれて死ぬんだよ!!!神聖なる旗を海賊に撃ち抜かれたという、我々の赤っ恥さえ“バスターコール”はかき消してくれる!!!20年前オハラで暴れた巨人海兵の一件の様に…………!!ハハッ…さァ歩け!!!自分の足で歩きやがれ!!!」
ロビンはルフィ達を信頼してくれている。ルフィ達の強さは私が一番知ってるし、理解しているはずだ。必ず来る、でも今回は時間制限ありだ。間に合うかどうかが肝心である。
「この…!!」
『長官殿、お急ぎを!!』
「わァってら、うるせェな!!!英雄だぞおれァ!!!てめェも来い!!!」
門は目の前だ。後ろには誰もいない。海兵が長官を急かし、ロビンを引きずるスピードも早まる。私はその後ろを追いかけていく形になる。チラチラと後ろにルフィ達が来ていないか確認しながら。
「てめェ…おれが何も知らねェとでも思ってんだろ。元海軍本部中将、ハグワール・D・サウロの乱行……!!貴様の母、オルビアの事、あの時オハラで何が起きたのかおれは全部知ってる!!!聞かされたからさ…!!!悪魔達の住む土地へ踏み込み、その大罪を暴き!!!“バスターコール”の合図を出したのは、当事『CP9』の長官だったおれの親父“スパンダイン”だからだ!!!」
ロビンの故郷を消したのは、長官のお父さん。親子揃ってCP9の長官だというの…ロビンにとってそれはどれだけ辛いことか。長官は足を止め、ロビンに語る。
「ワハハハ…あの時オハラにいた者達は全員死に絶えたもんだと、政府は逃げ出した一匹のガキを見落としていた。どうだった、8歳のガキが何度金目当ての大人達に殺されかけた事か。寄って来る人間全てが信用できない、安心して眠れる場所もねェ……食う物もねェ、そんなクソみてェな20年、おれァ想像もしたくねェ。」
ロビンはやっとできた信頼のおける仲間と言ってた。この20年、ずっと信頼できる人が、ロビンの側にいれる人がいなかったんだ。まだ私は10年ちょっとしか生きてないから、それがどんだけ辛いことか分からないけど…