第8章 海賊泥棒
「もうだいぶ酒屋から離れた。とりあえずすぐには追っちゃ来ねぇだろう。しかし一旦退いたはいいが、この檻は厄介だな…!」
「そうなんだ、これが開かねぇとあいつが来ても何もできねぇよ!」
町のはずれまで移動した私達。バギーから逃げるわけではないため、どこか隠れてないといけない。途中まで歩いたが、ゾロがダウンしてしまった。
「もうダメだ血が足りねぇ。これ以上歩けん…!!」
ごめんゾロ。私がちゃんと弾けなかった為に怪我を負わせちゃって。思ったより深手だな。
「あ、犬だ!」
ゾロが倒れたすぐ横に犬がいた。ゾロは気づかなかったみたいで、私の声で気が付きびくっ、と肩を震わせた。
「…何だこの犬は……」
「犬?あ、犬だ。」
そんでもっと気づくの遅いやついたし。
「これ何だ?犬か?本当に。おい、ゾロ。こいつ全然動かねぇよ。」
「知るか…そんなもん犬の勝手だ。とにかく今はお前がその檻から出る事を考えろ。」
「死んでんのかな。」
ルフィは何を思ったのか、犬の目に付きを繰り出した。それに怒った犬はルフィの顔に思い切り食らいつきルフィと喧嘩になっていた。
「てめぇ今の事態わかってんのか!!?」
「ちょいちょい、ルフィその辺にしときなよ犬相手にさ…ゾロも大きな声出さないの。体力消耗しちゃうでしょ?」
ルフィの顔から犬を取ってやる。ゾロとルフィは同時にぶっ倒れてしまった。
「犬め!!」
「くそ…血が足りねぇ!!」
「あんた達一体なにやってんの二人して…こんな道端で寝てたらバギーに見つかっちゃうわよ!」
「あ、あなたは…」
あれから逃げたのかと思ったのに、まだこの町にいたんだなぁ。何しに来たんだろ。
「よぉ、航海士」
「えっ?」
「誰がよ!!!」
倒れたまんま二人してそう呼ぶと、女の人は慌てたように否定した。ルフィは本当にこの人を航海士にするつもりだろうか。