第53章 海列車
「次は第4車両。」
「ワンゼだよーん。ワンゼだよーーん、さっさっさっさっさーー!!マッドなマッドなワンゼだよーーーん!!!」
……え?ドアを開けるとそこはキッチンだった。まぁそれはいい、キッチンはどこかにあるとも思ってたから。でも、人がワゴン走らせながら天井やら壁やら走ってるとは思わないじゃん。何だコイツ。
「おっすお前達っ!!ハラ減ってるか!?おれはワンゼ!!給仕長だから何でも作れるよ。ラーメンにする!?じゃ、ラーメンにするけどその前に知っといてほしい豆知識があるんだよね。おれの鼻毛は!!こう…中で網状に…網タイツみたいになってるって事ね!!!ハイ、まず小麦粉を口に含んでよーーくコネますっ!!!んん……!!さァめしあがれ。」
「「「いるかァ!!」」」
いや汚いな。マジで本当にラーメンだとしても、こうやって作る過程を見せられたら食欲なくなるわ。鼻から出した麺なんて誰が食べるんだ。
「時間をムダにした。ワンゼ、おれ達は人を待たせてる。先を急ぐんで………じゃあな。」
「待てーーー!!!この車両を通り抜けたければ!!!おれを倒してから進め!!!」
うーん、普通の料理人だったらよかったんだけど…やっぱり戦闘要員か。じゃないとこの列車に乗ってないよな…
「おれ達を止める気か?」
「止めるよーーーっ!!!さっさっさっさー!!!この海列車“護送任務”!!こういう万が一の襲撃の為におれはいるんだよーーっ!!!罪人を解放したいんだったらこのおれの『ラーメン憲法』に勝ってみろ!!!」
「ラ……ラーメン憲法!!?」
「ラ…ラーメン憲法ぅ!!?」
「あの野郎!!!人をバカにしやがって!!!」
「のせられんなバカ、思うツボだろ!!!」
「さっさっさーっ!!!どうだった?アホのものまね。」
そげキングがラーメン憲法に反応し、それをワンゼがバカっぽくマネした。それに怒ってそげキングが逆上するが、これは腹立つな。本当に強いのかな、この人。
「落ち着きのねェ奴め!!」
フランキーがなんの前触れもなく手から砲弾を放った。今腕がずれて隙間から砲弾撃たなかった?これもサイボーグならではなのかもしれない。しかし撃たれた張本人、びくともせずアホ面でそこに立っている。