第51章 誘拐
「ゾロはなんだか落ち着いてるね。」
「………そう見えるか?まァ船長があれだしな。」
ストン、とゾロの横に腰を下ろす。ウソップが知ってたってこと言ったほうがいいだろうか。言ったところで何だ、っていう話になるんだけど。こんな時、どういう立ち位置にいればいいか迷う。
「……私、どうすればいいかな…………」
「……お前副船長だろ。船長がアレだ、お前が今の一味を支えてやれ。」
確かに船長は男子部屋でずっと篭ってる。副船長か……今までずっと副船長らしいことはしてきてないから、ここで副船長が出てくると身構えるものがある。具体的に何をすればいいんだ。
「………支えるも何も…」
「ウソップを仲間にもう一度誘おうとか考えちゃいねェだろうな…」
「…………え?」
この決闘が終わって、どっちが勝っても一味がもとに戻らないことは理解してた。そんなすぐ戻るようなら、こんな決闘なんて申し込まないはずだ。それこそ話し合いだけで事は済んだはず。
「……そんなの考えない。ウソップはそこまでバカじゃないもん…」
「………分かってんならいい…………あいつがどうなろうと、おれ達には………」
「分かってるって言ってんじゃん!!!」
そんなに私が分かってないように見えるか。確かにルフィの次くらいに頼りないかもしれないけど、これでも精神年齢は君たちと同じかちょっと上くらいなんだ。せっかく副船長としてどうあるべきか、頼もしいゾロに聞こうとしたのに……私はカッ、となってつい立ち上がってしまった。
「…………あ、ごめ……」
「……………いい、おれも悪かった。」
ゾロは悪くない…頭を冷やそう、私は女部屋へ戻った。ナミはいない、ここならゆっくりと考えられる。ああ見えてルフィはしっかりしてるところも多い。だからルフィもウソップを連れ戻せないことはわかっているだろう。この先どうなるのか…大変なことが起こってる割に私の頭は不思議と冷静なのだ。