第51章 誘拐
「…ルフィのところに行きたい。」
「…分かったよ。」
そのまま私は泣いてるチョッパーの肩を優しく撫でて部屋を出た。ルフィは男部屋にいるんだろう、ナミの声が響いてる。ここに入るのはちょっと躊躇ったがしょうがない。控えめにドアをノックする。
「なまえ……」
「ごめんねナミ。ルフィと話したい。」
「……わかったわ。」
ナミには申し訳ないが、ここから出ていってもらう。とりあえず話は終わったみたいだし、大丈夫だよね。ルフィは相変わらず帽子で顔を隠して、どんな表情してるか分からない。
「ルフィ、」
「…なんだよ、お前まで。話すことはねェ……」
「…は?」
今この状況で、さっきナミに色々言われてたから機嫌が悪いのは目に見えてわかる。でもさ、私に当たろうとするのは間違ってない?私には何がなんだかわかってないんだから、説明をするのが筋ってもんだと思う。ちょっとカチン、としてしまったのは仕方がない。
「おい!!何すんだ!!!」
「…ねぇ、何でウソップがこの船から降りないといけないの?」
ルフィの顔に被ってる麦わら帽子をはぎ取った。ルフィは不貞腐れているような、機嫌が悪い顔をしていた。急に取ったからそりゃ怒るよな。
「メリーがどうたらって話してなかった?メリーがどうかしたの?」
「メリーは…」
さっきまでの不機嫌は何処へか、ルフィはポツポツと話してくれた。私達が攫われてた時に船大工さん達に説明を受けたこと、メリーは船の柱である竜骨が壊れてて直せないこと、メリーと同じ船は二度と戻せないこと。ウソップはメリーが何故走れないかも聞かないまま意見が決裂してしまったらしい。
「…そっか…ありがとう…」
「何も思わねェのか?」
「…いや…でも私は……ルフィの決定に反対はしないよ。」
正直言うと、何故2人はろくに話もせずに決別しちゃったのかという文句はあるけど。でも、それはウソップだって話を聞かないで出ていったんでしょ。でも……そんな勢いだけで出ていくだろうか。ルフィはこれ以上話したくなさそうだ、顔だけでも帽子返せと睨んできているから。
「…返す。ごめんね。」
帽子を顔に掛けてやると、私は男部屋から出ていった。ウソップはどこに行ったんだろうか。やっぱり責任を1人で背負ってはいないだろうか。状況は同じだった私だけのうのうとここにいるのもおかしな話だ。