第51章 誘拐
「ルフィ、お前は海賊王になる男だもんな。おれは何もそこまで“高み”へ行けなくていい…!!思えば、おれが海へ出ようとした時に…お前らが船に誘ってくれた。それだけの縁だ……!!意見がくい違ってまで一緒に旅をする事ねェよ!!!」
「おいウソップ、どこ行くんだ!!!」
ウソップはそう言って船から降りていった。待って…今言ってたこと本気ってこと?じゃあウソップは…本気で、
「どこ行こうとおれの勝手だ。おれはこの一味をやめる。」
「そんな……!!!ダメよ!!!待ってよ!!!」
「おい戻れ!!!」
「え!?え!?行かないでくれよォ!!!ウソップ〜〜〜
〜〜〜〜!!!」
みんなが船を降りたウソップの後を追って室内から出ていく。私もならってベットから降りようと思ったが、思ったよりも重症で足や腰に激痛が走る。そっ、とベットから降りゆっくりと外へ向かうドアに手をかける。
「おれと決闘しろォ!!!!」
ビリビリと部屋の中にまで響く声。ウソップの怒号だ。決闘…ということはメリー号を賭けて、船長であるルフィと戦うってことだよね。本当に…ルフィと戦っちゃったら本当に決別してしまう。負けたらウソップはもうこの一味に戻ってこれないということになる。
「……………ウソップ…」
ドアを開けると、もうウソップの姿は見えなかった。その代わり、みんなが何を発するわけでもなく立ち呆けていた。ルフィを見るが、麦わら帽子で表情が見えない。こんな状況で声をかけるのも引けるが…とにかく決別してしまった理由を知りたい。
「………ルフィ、」
「あ、なまえ…!!」
「起きたのかなまえ……お前はまだ寝とけ。」
「ルフィ、ちゃんと説明して…」
「ダメだなまえ!!おれ、おれが説明するから……」
チョッパーが泣きべそをかきながら私の元へ寄ってきた。そのまま促されるように元の部屋まで戻ってきてしまった。
「大丈夫か?傷は痛むか?」
「………大丈夫……チョッパー…」
「………何だ?」
「…………ウソップはどこ行ったの?私……ルフィの口から説明してほしいの。」
チョッパーは困ったように笑った。その顔は涙でグチャグチャで…チョッパーだって辛いはずだ。でもきっと、戦わなくちゃいけないルフィだって同じなはず。だからこそ私はルフィから理由を聞きたいのだ。