第51章 誘拐
「……その金を返せ!!!!」
「金を返せって?て事ァお兄ちゃんら“麦わら”の子分かい。」
子分って言い方は凄く気になるな…私達はそこらへんの海賊と違って上下関係があまりない。こう見えて私副船長なんだけど…
「そうなんですアニキ…麦わらのルフィと一緒にいるもんで、どんだけ強ェ海賊かと思ったら…」
「これが弱ェの何のって…!!!」
「余計なお世話だ、」
「!?ウソップ、先制しちゃダメっ…」
ウソップがリーダーのところへ駆け出した。両者が動かずに睨み合ってる状況で先制するのは、強い人だけだと私は思ってる。動いたほうが負ける、そういうのはよくあるじゃない。だから私は様子を見るつもりだったのに…
「おっと!」
「返せ!!!それはおれ達の船を…修理する為の、ハァ…ハァ…大事な金なんだ!!!!その金でやっとメリー号の傷を直してやれる…!!!お前らなんかに渡してたまるかァ!!!!」
リーダーが持っていたスーツケースに飛びかかるが、軽く避けられてしまった。まぁあっちから見れば子分達にやられた私達は敵じゃないと思ってそうだもんね。
「何をムキに…アハハハハ!!船をずいぶん愛しちまってるらしいな……まァおめェらの船がどうなった所で、この金はもうおれ達のモンだわ…残念ながら世間じゃあ…海賊から何を奪おうと罪に問われねェ。どうせどっかで奪った汚ねェ金だろ?ハハ、まァ…くれよ。何なら海軍にでも泣きついてみな、捕まるのはおめェらさ。不運なのは“麦わらのルフィ”だな…金の番すらろくにできねェ様な…使えねェ子分を持っちまってよォ!!!」
「ウソップ!!!」
リーダーはウソップを思いっきり蹴っ飛ばした。どこかで奪った汚いお金だって?これは空島で命を賭けて見つけた財宝なんだよ。それを海賊だからって奪った前提にすんのやめてくれるかな?
「おめェら後は適当に相手してやれ。おれァ早速この金を持って買い物をしてくるぜ。アハハハハ、楽しみだ。」
「お金返せって言ってんのが分かんないの!!?」
人の仲間蹴っ飛ばしといてそのまま逃がすかってんだ。アジトからスーツケースを持って出ていこうとするリーダーに向かって短剣を投げつける。しかし…
ガキィン!!
「……はっ?」